俳優田中実さん出演作リスト＆関連リンク集

生前ブログで「大事な先輩との作品で長崎にきています」と紹介されていた作品と思われます。冒頭、左文字の助手の史子と出会い、三人で歓談するシーンの実さんは実年齢とは思えぬ若々しさで、水谷さんとの共演を心底楽しんでおられたように見えて、胸が苦しくなりました。２時間ミステリにしては珍しいのですが、この作品ではメインキャラクターは誰も死にません。それが妙に救われた気持ちになりました。

ある小学校の教師が昔の教え子の無実を信じて手紙を書き続けていた。彼が亡くなった時その役割を引き継いだのが、田中実さん演ずる一人息子の東篠隆。学級崩壊の中で子どもと向き合うことに時に自信を失いそうになりながらも、会ったこともない死刑囚を支え、必死で目撃者捜しに奔走する。こんな強さと弱さを併せ持ったストレートな善良さに、リアルな説得力を与えられるのが、田中実さんの一つのカラー。手紙の声に重ねて回想シーンのように教師としての姿が描かれますが、父親とダブらせてちょっと古めかしい感じで演じておられるのもなかなか良かったです。
【チェック】今回の作品を見て、田中実さんも良い感じに歳をとってきたなーと思いました。まあ役柄に合わせて印象をがらっと変えてみせるのがこの方の面白いところなので油断できませんが(笑)　

怪しいと思わせて犯人じゃないという視聴者攪乱役。幼なじみとやり直したいと思っているが、奥さんにも同情しちゃうし、今の生活や地位も捨てたくないし‥‥と優柔不断な男ですが、本人もそうかも、と思わせちゃうはまり方がGood。周囲に振り回される役柄なせいか、疲れた顔が多くてちょっと可哀想でした。
【チェック】アスコットタイ。絶対似合うはずと思ってましたが、やっぱりお似合いでした。

【チェック】インタビューのさなか、お子さんがむずかりだしたら、すかさず「抱っこしようか？」
　　　　　　本当に子供がお好きなんですねー。

罪の重さについて回る世間の厳しい視線の中で、生きていく勇気があるかと少年に問う。登場は被告に対する弁護人質問の中の１シーン、台詞はたったの２センテンス。なのにその声が深く耳に残ります。単純に一方的な見方にならないように、というのが番組の方針だったそうで、人道的な立場で心の底から更正を願って、この台詞を言われたのだと思います。驚いたことにこのシーンは後編の予告としても使われていました。田中実さんの台詞の力に、改めて感動しました。

田中実さんの役回り、なかなかヘビーです。優秀な会社員だったが、彼女の父親が娘可愛さで身辺調査した事がきっかけで、恋人と別れて夜の世界に落ちる羽目になる。恋人のほうも父親のしたことが許せずやはり夜の世界に。そこで再開した二人は改めて愛し合っていたことを認識して……。はっきり言ってこれだけをメインで見たいぐらいだったのですが(苦笑)、残念ながらこれは殺人事件の背景でさらっと語られるだけなのです。にもかかわらずすごい説得力があったのは、実さんが信じられないぐらいギラギラしていたからでしょうか。実は実さんが出てるの知らなくて見たのですが、お顔を見たとき一瞬誰か分からなくて、声を聞いてやっと気づいたんですよね…。本当にびっくりしました。
【一人称】俺

毒婦に利用されてしまうお人よしの若旦那。たいてい可哀想なことになるので、はまり役って言いたくないんですけど、でもはまり役。実さんって素でいい人と思えるので、悪い女にかかったら本当に騙されちゃいそうで心配なんですもの。現実のご結婚は本当にお幸せそうなので、よかったです。。。って、私は何を心配してるんでしょうか。

これは、ラストのエンドロールを絶対絶対見ていただきたいです！　故人は実さんの大恩人で、ラストのエンドロールで、その人のお墓に実さんがお墓参りをするのですが、そこがねー、本当に本当にかっこいいのですよ！　回想シーンには、精神的に参ってぼろぼろになっている時もあって、故人のおかげで復活して今はパリッと頑張ってる。そのギャップがいい。両方ともしみじみ実さんなんですよね。

こういうお医者さんが担当なら、どんなリハビリでも耐えられそうです、私(笑)　田中実さん定番(？)の優しいお医者さんですが、それこそ定番ならではの安心感で、ずーっと見ていたいと思ってしまいます。
【一人称】 僕

戦火の中でお市や三人の娘と別れるシーンは時代劇の定番ですが、「政略結婚などではない。心から愛していた」という台詞も、長政が優しい男じゃないと生きてこない。その意味で田中実さんはぴったりです。登場シーンはわずかですが、素敵でした。