俳優田中実さん出演作リスト＆関連リンク集

「田中実さんって本当にうまい役者さんだ！」と感心した作品。愛妻家で子煩悩の若いパパといったら実さんの定番キャラのはずなんですが、「昔不良だった」ため、表現が違うのですよ。声を低めに抑え、奥さんと子ども以外に対してはややぶっきらぼうに。光彦や刑事に対しても、内側にやさぐれた感じを残して応対をする。典型的な柄の悪さを出すなら簡単だけど、普段の自分をほんのちょっと変えて別物にするって、これは難しいと思うのです。ちなみに役柄が明石焼き屋の店員でずっと明石焼きを焼いてるんですが、これがまた妙にサマになってたりします(笑)
【チェック】過去を調べる過程でかつて不良やってたころの写真が出てきます。真っ赤な学ランにメッシュ髪の実さんなんて、よそではまず見られません。でもこれはこれでカッコよいと思いました！

主役が本当のろう者の方ということで、田中実さんのほうも大変なご苦労があったと思いますが、普段通りの素敵な夫であり、優しいパパです。忍足さんがのびのびと演技できたのも、実さんのような周囲との和を大事にする役者さんが相手だったからだと思います。
夫婦喧嘩のシーン、聞こえないことの苦しみはもちろんですが、相手に見てもらえなければ思いを伝えることができない健常者側の辛さと苛立ちもしんと伝わってきます。確かに壁はあるのだけど、それを乗り越えてつながっていく。でもそういった人と人の間の壁は健常者同士でも誰にでも普通にあることなのかもしれません。だから伝えようとするんだ…って、サコミズ隊長の台詞みたいですがそんなことを思いました。
ちなみに公式サイトにはメイキング時の写真も多くあります。
【チェック】田中実さんの手：男性の大きな手というのは魅力的なもの。それが愛を語るとなればなおさらです。
　　　　　　方言：標準語に近いのでわかりにくいかもしれませんがちゃんと静岡弁で話されてますね。
【一人称】俺

最初から出征していて劇中で戦死公報が来るので、実際の登場は写真と手紙の声、そして父親の夢の中のごくわずかです。ただエキセントリックな言動を取るカンゾー先生との対比として息子の真面目さが必須だったわけで、田中実さんの起用はばっちりだったと思います。カンゾー先生がどれだけ息子を愛し、心の支えにしていたかは折に触れて語られるのですが、実はその息子が満州の７３１部隊に居た可能性が仄めかされます。一郎が手紙に書いてきた「肝臓炎の原因」をどうやって知ったのか、なぜ死んだのか等々、余白は恐ろしくも皮肉めいています。