赤星絵日記  絵:理絵さん  文:赤星竜太
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×月×日
輝のきらきらした目につられて、ついウンって言っちまったのが失敗だった。あいつが喜び勇んでトランプ出してきた時は逃げようと思ったけど、黄龍に「絶対ムリ」って言われたんでアタマに来て、トランプタワーにチャレンジした。自分でムリって言うのと、人にムリって言われるのは、むちゃくちゃ差があるんだ!
山3つで2段作るのに成功したら次は3段って言われた。で、3つの山を一列に並べたあとに2段目乗せて崩れた時はもうイラついてた。ばしっとそれを崩して隣のテーブル見たら、なんと黒羽が4段タワーの4段目にかかってるじゃないかっ ま、まさかコイツ、トランプタワー作るのでも日本一だったのかっっ? 凄く不公平だと思ったので当然それも壊した。高いヤツを崩すのはすっげー気持ちがいいなーっ と爽快な気分に浸ってたら、いきなりギターで3発殴られた上に、店中に散らばった2組のトランプ集めるまでメシ抜きだと言われた。あんまりだと思う。

×月×日
今日はちょっと用があって帰るのが遅くなった。で、店に入ったら照明落とした上に、あちこちローソクが立ってる。ボックス席には瑠衣と瑠衣の友達らしき子が座ってて、脇に理絵さんがトレイ持って立っていた。
そうそう。今日はコウレイ会やるって言ってたからな。誕生日は毎年恒例だし、誕生日といえばローソクだ。ま、ちょっと雰囲気がちがう気もするが、このくらいの年齢の、それも女の子の考えることはよくわかんないしな。
瑠衣の友達も祝われてる割にはなんか泣いてるし、ますます黙ってたほうが良さそうなので、カウンターの中で大人しく新聞読んでた。そうこうしてるうちに、その子が立ち上がったので見送ろうとカウンターから出たら‥‥‥

足がなかった‥‥!!!

そのうえ‥‥

いきなり消えた‥‥‥!!!!!!!!!!

悲鳴を上げなかった俺は偉かったと思う。事実を知ったらもっと怖いのでなんも聞かないことにした‥‥‥‥




XXXX年×月×日
「親父っ これ、なんだよっ」
「おう、水希。おっ 結婚式のアルバムじゃねーか!
懐かしー! ほーら、母さん綺麗だろう?」
「母さん綺麗なのは当たり前っ それよりなんだよこれっ! 1冊めは普通なのに、どーして2冊めは親父も伯父さんも黒羽のおじちゃんも、みんなヨレヨレなんだよ! ケンカでもしたのかよっ!!」
「しょーがねーだろ。ちょうどこの間で残党が暴れ込んできたんだから‥‥」
「残党だがなんだか知んないけどっ! 女の人にとって結婚式はすっごく大事なんだよ!」
「あ、ああ‥‥。みんなにさんざんそう言われたよ」
「母さんの大事な結婚式で、こんなことしてんじゃねーっ
親父のバカヤロー!」
「お、おい! どこ行くんだ!」
「フォトンたちの散歩だーっ」
「‥‥‥‥い、行っちまった‥‥。誰に似たんだ、あれ? だって、スパイダルの残党、やっつけてきていいって言ったの母さんだぞ? 有望がそれがいいって言ったんだから、いーじゃねーかよ‥‥、なあ?」