エピローグ



 空間が歪むときの特有の音で、ブルマはコーヒーを置いて立ち上がった。

 旅立ったときと寸分変わらぬ場所に、タイムマシンが見事に姿を現すと、彼女は大喜びで手を叩きながら息子を出迎えた。
「お帰りトランクス! 実験大成功!」
 しかし彼女は、マシンから降りてきた息子の顔を見ると言葉に詰まった。

「あれ? ……トランクス? あんた、泣いてんの?」

 彼の目が潤んで赤いように思えたが、トランクスは顔を背けて歩き出してしまった。
「泣いてなんかないですよ」
「えーっ? ほんと? あんたそんなにタイムマシンの成功が嬉しかったのかぁ。それとも母さんに5分会えないだけで寂しかったとか?」
「まさか!」
「そぉよねぇ。わがままで手のかかる母さんだもんねぇ。ま、いっか。とにかく実験成功を祝って、今夜は晩酌に付き合ってね!」
「また! 母さん、いい加減にしてくださいよ〜」
 母子は、笑いながら歩いていった。

 そこにはタイムマシンだけが残され、やがて2人の笑い声も、遠のいていった。


オワリ



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