第10話 発進!リーブロボ参上!
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オズベース。シミュレーターマシンに座る5人。赤星・黄龍・翠川・瑠衣はシミュレーション用ヘルメット。黒羽、しなくてもいいゴーグルだけ。

特大モニターの中、ジェットドラゴン・ランドドラゴン・ターボドラゴン・ラガードラゴン・スタードラゴン。

黄龍(ハンドル横のスイッチを押して) 「もらいっ!」
翠川 「はっずれー!こっちだよ!」(ハンドルを切る)

ターボ・ラガーの上空にジェットドラゴン。

赤星 「頭がお留守になってるぜ!…うわっ!」

ジェットドラゴン、下から攻撃を受けて撃墜。モニター下方、対空砲から煙を上げるランドドラゴン。

黒羽 「さらば、赤星撃墜王殿っ」(敬礼)
赤星(ヘルメットを取って) 「くっそお!撃墜王って撃墜される方かよ…」

モニターから爆音。猛スピードで突進してくるターボドラゴン。

黄龍 「よそ見してんなよ〜っ!」
黒羽(素早くチッチッチと指を振る) 「おおっとぉ、制限速度制限速度」

砲塔をターボに向け、コクピットのスイッチを押す。車体後方から機銃。

翠川 「ああっ!や、ヤバイヤバイ…!!」

ハンドルを思いきり切る翠川。ラガー、大スリップ。

黄龍 「テッ、テルこのバカ!」(慌ててブレーキを踏む)

ターボ・ラガー衝突、大爆発。ヘルメットを取る黄龍・翠川。

黄龍 「何やってんだテル! ヘッタくそってゆーか、カンがわりーってゆーか…」
翠川 「しょうがないだろアレはっ!じゃあ、エイナ、やってみろよっ!」
黄龍 「俺様を誰だと思ってんの? 俺様だったら絶〜っ対あそこでランドに一発喰らわして…いてっ」

言い合う2人の頭を掴む赤星。

赤星 「ケンカなし! 2人とも練習不足だっ!」
黒羽(ちょっとゴーグルを目から離して横目で) 「まずは、交通法規から覚え直しだな」
黄龍 「なんだっ……」

突然、モニターで爆発音。驚いて振り向く4人。ヘルメットを取る瑠衣。Vサイン。

瑠衣 「瑠衣の勝ち♪」

モニター、飛んでいくスタードラゴン。炎上するランドドラゴン。黒羽、右手にゴーグル左手に帽子の両手を広げて口笛。

翠川 「あ〜っ!瑠衣ちゃんずる〜い」
黄龍 「悪女の才能アリって感じ?」
赤星 「何言いやがる!」(黄龍の頭をはたく) 「瑠衣、それだよ!相手の隙を突く!その呼吸だ」
黒羽 「まあ隊長ったら、教育的だこと…」(帽子をかぶり直す) 「負けましたよピンク。隠れた名パイロットだ」
瑠衣 「ホント?やったね、スタードラゴンvv」

モニターの中を飛び回るスタードラゴン。


===***=== タイトルIN『発進!リーブロボ参上』===***===



モニターの映像から研究室。

葉隠 「輝君以外は、問題なさそうじゃの」(モニターを切る) 「ま、輝君もすぐ慣れるじゃろ。なんせあの運動神経じゃし…」

インターホンが鳴る。葉隠、受話器を取る。

葉隠 「葉隠じゃ。…わかった、すぐ戻る」



ベースのエレベーター。どんどん地下に降りていく。B18で止まる。艦橋のような通路を歩いていく葉隠。指紋照合で扉を開けると、そこには巨大なドッグがあった。何人ものOZの生き残り科学者・技術者が動いている。ドッグの中層で書類を片手に指示を出す田島博士。その見上げる先に、5機の巨大メカのシルエット。

葉隠のところに有望が歩いてくる。

有望 「博士」
葉隠 「おお、主任。どうじゃ?」
有望 「完璧です。問題の残っていた連結、間接部も」
葉隠 「当然。主任が見ておってくれるならミスはあるまいて」
有望 「そんな…」
葉隠 「田島君は?」
有望 「各機の微調整の方に回って下さってます。やっぱり凄いですわ田島博士は…!」

指示を出している田島。自らも部品を取り調整に携わる。書類に何か書き付ける。別な所から呼ばれ、早足にそちらへ向かう。

葉隠 「もちろんじゃ、田島君はOZきっての技術屋じゃからのお」

確認に回っている田島に一人の科学者が駆け寄ってくる。

科学者 「田島さん!ブリッジで葉隠博士がお待ちです」
田島 「わかった、今行く」(機体の上の技術者に向かって) 「チェックは任せた! 私は葉隠博士に会ってくる」
技術者 「早く戻って下さいよ〜!」


階段を上がってくる田島。

田島 「お待たせしました」
葉隠 「どうしたんじゃ?」
田島 「合体シフトの方でちょっと…」

書類と睨みあい、階段を下りていく葉隠、田島。モニタールームに入る有望。スイッチをいくつか押すと、モニターに5人のシミュレート映像が映る。

有望 「合体シフトか……」

モニター、撃墜されるジェットドラゴン。

有望 「間に合ってちょうだい、リーブロボ……」




スパイダル基地。モニターに映る過去のオズリーブスの戦い。倒される怪人たち。

アラクネー 「おのれオズリーブス…」(拳を握り締める)

靴音を響かせて振り返るアラクネー。同時に消えるモニター。スパイダル科学者たちが何かを作っている。

アラクネー 「しかし、いい気になるのもこれまでよ。このディメンジョンストーン制御光線が完成すれば貴様らに勝機はない…!!」

影の中から白い小さなロボットが浮遊してくる。
『アテンションアテンション、コマンダー・ブラックインパルス。コマンダー・ブラックインパルス』

アラクネー 「司令官…!」

歩き出すアラクネー。


スパイダル作戦司令室。集まる四天王。現れるブラックインパルス。

BI 「よくぞ集まった我が四天王たちよ…」

それぞれ敬礼する四天王。シェロプのアップ、不愉快そうな顔。

BI 「今また次元の扉が開かんとしている…」
アラクネー(一歩前に出る) 「司令官。今こそあたくしに三次元征服の任、お任せ下さいませ」
シェロプ(間髪入れず) 「ハッ!貴様のごとき小娘に何ができるか。平民出の成り上がり者の分際で作戦会議に最初に口を開こうなど…    身の程を知……!」
BI(シェロプの言葉を遮って) 「黙るのは貴様だシェロプ!」

引き下がるシェロプ。忍び笑うゴリアント、スプリガン。

BI 「アラクネーよ。許す、申してみるがよい」
アラクネー 「ははっ」(シェロプを横目で嘲笑って) 「お喜び下さい司令官、あたくしの部下がディメンジョンストーン制御光線が完成させつつあります!」
BI 「まことか!」

ショックを受けるシェロプ、ゴリアント、スプリガン。3人小声で、

ゴリアント 「ありゃあオレっち四天王の部下が共同で…!」
スプリガン 「アラクネーめ…手柄ぁ立てたさにぬけがけしやがったな」
シェロプ 「なんという小娘だ…これだから平民はっ!」

構わず続けるアラクネー。

アラクネー 「それさえあれば怪人たちの巨大化が自由になりますわ。そうなれば三次元征服などたやすいもの…! すでに暗黒次元より我が暗黒妖夢族最強の怪人ヒトデンジャーを呼び寄せております! ヒトデンジャーは人間どもの生体エネルギーを吸って、それを我が力とすることができます。彼奴の能力ならば、彼のにっくきオズリーブスとは言えひとたまりもありますまい…。まずはヒトデンジャーにオズリーブス並びに人間どもの生体エネルギーを吸わせ、大幅なパワーアップを計り、そののち巨大化し、首都東京を壊滅させます!」
BI 「うむ、さすがは夢織将軍アラクネーよ! ヒトデンジャーを地上に放て!!」
アラクネー 「ははっ!!」




野原で組み手をする赤星と翠川。遊び半分。お弁当を広げて見ている瑠衣。

赤星 「よーしよーし、ほらそこで突け!」
翠川の突き、蹴りをさばきながら、攻撃を入れやすい構えを取る赤星。
翠川 「てやあっ!!」
翠川、赤星の腹に突き、引く。効かない。
赤星 「軽い!」
翠川 「だーっ!!」
もう一歩踏み込んで殴りつける。
赤星 「よおし! よ〜し、これまで!」

全く応えていない様子の赤星。息を弾ませている翠川。
瑠衣 「お疲れ様ーっ。ハイ、お茶」
2人に水筒のお茶を注いであげる瑠衣。

翠川(お茶を飲み干す) 「ぷはーっ、んまい!」
赤星 「なかなか動けるようになってきたぞ。飲み込みが早いよお前」
翠川 「へへっ、そう?」
瑠衣 「うん!輝さん、カッコよかったv」
翠川 「ホ、ホントッ!?」
赤星(翠川の肩をこづく) 「反応が違うじゃねえか、輝!」

笑いあう3人。突然、森の中から若い男。ふらついて、倒れる。驚いて駆け寄る3人。

赤星 「大丈夫ですかっ!」
肩を叩いて大声で何度も呼ぶが、反応なし。
赤星 「大変だ! 輝、救急車を!」
翠川 「はい!」

走っていく翠川。意識不明の男性、鎖骨の上辺りに指の先大の謎の赤い斑紋が…。



病院。何人もの人が寝ている病室。皆意識がなく、点滴を受けている。赤星、翠川、瑠衣の立っている側のベッドに、さっきの男性。他の患者と同じ状態。

医師 「ここ数日の間、この近辺だけで急に現れ出したんです。こんな病気は見たことがありません」
赤星 「どういうことですか?」
医師 「それはまだ、確かなことが何も分かっていないので何とも言えませんが…」
赤星 「そうですか…」

忙しく歩き回る医師、看護婦たち。赤星たち、邪魔になっている。
赤星 「あ、それじゃあ俺たちはこれで」
医師 「ご苦労様でした」

ドアを出る3人。
瑠衣 「新しい病気なのかな…。お医者さんも分からないなんて」
翠川 「怖いな〜。オレ、ケガよりも病気の方がいやだよ。ケガはいつか治るって思うんだけど、病気のことは分かんないもんな…」
赤星 「妙だな。数日の間、しかもこの辺だけなんて……」(ハッとした顔) 「まさかスパイダルの陰謀か!?」

突然ギターの音色。廊下の角から黒羽登場。
赤星 「黒羽!」

黒羽、ギターを軽く投げて左手から右手に持ち替え、肩に斜めに担ぐ。さらにとっても大げさに赤星を2本の指で指差す。
黒羽 「ご明察。さすがは赤星隊長だ」

3人、黒羽に駆け寄る。
赤星 「どういうことなんだ?」
黒羽 「これを見な」

黒羽、内ポケットから数枚の写真を取り出し、赤星たちに渡す。どれも人間の首元のアップ。全てに赤い斑紋がある。

赤星 「これは…!」
さっきの男性や患者たちの首元の斑紋の映像が次々に現れる。
赤星 「さっきの人と同じだ!」
黒羽 「その通り!この突然の奇病に襲われた人々全てにこの斑紋があった…原因は全く不明だ」
赤星 「症状は?」
黒羽 「昏睡状態に陥りどんどん衰弱していく…妙なのは点滴で栄養を補給しても、その分また体力が失われていくことだ」
赤星 「何だって!?」

黒羽 「ウィルス等は全く見られない。あるのはただ首元の奇妙な斑紋のみ…。現在患者は百名弱!早くにかかった人は命が危ない」
赤星 「なんてこった…スパイダルめ! 黒羽、輝、瑠衣! 急いでベースに戻るぞ!」
翠川 「OK!」
瑠衣 「はいっ!」



オズベース司令室。入ってくる赤星ら4人。司令室には黄龍一人。立ち上がる黄龍。

黄龍 「来た!ったく、何やってたんだよリーダー!」
赤星 「お前こそ何やってんだ、一大事だ!」
黄龍 「一大事だからこうしてんだろ! 黒羽、佐原の所長んとこ行って、ちゃんと聞いてきたぜ。今回の奇病事件」

座りなおす黄龍。4人も腰を下ろす。

黒羽 「おやっさんの見立てはどうだ」
黄龍 「ああ。さっすが所長と瞳ちゃん、ここ2日ばっかで調べ尽くしてんね〜。症状は…」
黒羽(遮るように) 「それはもういい」
黄龍 「あ、そ。あとさ、一人病院に運ばれるのがすっげー早かった人なんだけど、首の斑点だっけ?そこんとこにちっちぇー腫瘍みてーなのがあったんだってさ。なんかすぐ消えちまったらしいんだけど、胃に似た感じだったって」
黒羽 「胃か。…それで」

黄龍 「あとそれがさ、一人だけダイイング・メッセージ残して…」
黒羽 「馬鹿野郎! まだ死者は出てない!!」
黄龍 「…そうだったっけ。で、一人だけ手がかりになりそうなこと言ったらしいんだよ。『ヒトデにやられた』って!」
赤星 「ヒトデだって!?」

数秒、黙り込む全員。
黒羽 「コモン・スターフィッシュってのを知ってるかい」
赤星 「なんだそりゃ?」
黒羽 「いわゆるヒトデだがな…。やっこさん飯を食う時、例えば二枚貝の中身を食う時だ。体で貝を覆ってこじ開けて、細い隙間から自分の胃を貝の中身に移動させて直接消化して食べるのさ」

緊迫した表情の赤星たち。

黒羽 「胃に似た腫瘍、消化されるようになくなっていく体力…。今回の奇病に似ちゃいねえか」

立ち上がる赤星。拳を握り固める。
赤星 「こんなことをするのは、やはり奴らしかいねえ!」
  
4人も立ち上がり、力強く頷きあう。



オズベース地下ドッグ。巨大な機体の影が音を立てて変形していく。

葉隠 「よおし…いいぞその調子じゃ…!」
有望(画面をチェックして) 「リーブ粒子異常ありません!」
科学者 「合体シフト、オールグリーン!」

機体から稲妻が走る。火花のような音。鉄と鉄がゆっくり重なり合う音。人型ロボットの目が緑色に光る。

田島 「チャージアップ、リーブロボ!!」



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