第12話 坊や涙!クリスマスイブの暴魔獣
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深い森の中。よろよろ走ってくるトナカンダー。目の前に次元回廊発生!稲妻の球体の中から現れるゴリアント。
トナカンダー「ゴ、ゴリアント様!!」
ゴリアント「この役立たずが!!」

トナカンダーを殴りつける。もんどり打って転がるトナカンダー。
ゴリアント「せっかく最強の体を作り出してやったってえのに、おめえはどういうつもりだぁっ!!!」
トナカンダー「オ、オレ……」
ゴリアント「てめえのような恩知らずにもう用はねえ!!」

ツノの一撃を喰らわせる。吹っ飛ぶトナカンダー。
トナカンダー「ギャオオオォォォ!!」

崖に激突、ぐったりと気を失うトナカンダー。さらに攻撃を加えようと身構えるゴリアント。が、その足元にレーザーが!
ゴリアント「な、なにもんだっ!!」

振り返ると、スプリガンが銃を構えている。
スプリガン「その辺にしときな」

銃をクルクル回してホルスターに収める。
スプリガン「今いるのを呼びもしねえで、せっかくわざわざ作り出してやった自信作だろぉ? なら始末しちまうのはもったいねえ」
ゴリアント「何の用だぁスプリガン…!!」
スプリガン「体は最強なんだろ?問題があるのは中身だ。ならそこだけ作り直しゃいい」
ゴリアント「何を今さら……」

興奮するゴリアントの目の前にコンピュータのチップを突きつけるスプリガン。
ゴリアント「…なんでえこりゃ」
スプリガン「オレが新しい機甲兵を作るとき使う、コントロールチップよ……こいつをそのトナカイちゃんの頭に埋め込みゃあ、もうそいつはおめえの言いなりさ」
スプリガン、倒れているトナカンダーの頭をつま先でこづく。
ゴリアント「ホ、ホントかスプリガン!!そいつを寄越せ!!」

チップに手を伸ばすゴリアント。が、スプリガン、よける。
スプリガン「おおっと待った。これだけあったっておめえにゃ猫に小判、いやぁ牛に小判か。オレにしかこいつは扱えねえぜ」
ゴリアント「!てめえ…手柄ぁ横取りしよってんだなあ!!?」
スプリガン「人聞きが悪いぜゴリさん。横取りしようてんじゃねえ、ただ山分けにしねえか、とこう…な」
ゴリアント「山分けぇ…?」
スプリガン「まず言っとくが、メインはおめえだ。オレはただ手助けをしたってだけの話、前線にも出ねえ。後詰めだ後詰め…」
ゴリアント「…それで!」
スプリガン「オレは技術料だけ頂こうじゃねえか。何、そっちの方がオレにとっても都合がいい。どうも国は機甲兵団の技術力を正しく評価してねえ向きがあるからな。で、この作戦でオレのコントロールチップの性能の良さをアピールしてえって訳よ」

考え込んで唸るゴリアント。やがてキッと顔を上げる。
ゴリアント「よっしゃ!乗ろうじゃねえか。手柄はオレのもんだったのはよーく分かった! 今すぐ戻ってその…チップとやらを埋め込め!!」

トナカンダーのたてがみを乱暴にひきずって、次元回廊に消えるゴリアント。
スプリガン「クククク……扱いやすいぜゴリさん。ちょっと考えりゃどっちの手柄になるか分かりそうなもんだ…これでオレの出番も増えるってもんよ」
手をかざして消えるスプリガン。


午前中の柔らかい日差しの差す街角、喫茶森の小路。
赤星「…そういうことか…」
オズベース司令室。神妙な面持ちの5人。
翠川「言おうと思ってたんだ…でもリーダーや黒羽さんの話を聞いちゃって、それでっ…見つかったら、トナカンダーもスパイダルだし、見つかったら…」
赤星、座っている翠川の側にしゃがむ。
赤星「わかった!博士と相談してみようぜ、博士だったら何か解決策を出してくれるかもしれねえ」
翠川「リーダーっ」

立ち上がる赤星と翠川。
黄龍「俺様もソレ賛成。そんな怪人退治すんのも寝覚めワリーし…」
赤星「よし!まずはトナカンダーを保護することだ。お前の話だと攻撃されねえ限りは穏やかな奴のようだし…どこか山奥にでも隠れてるだろう。俺たちも着装しないで探し…」
黒羽(赤星の言葉を遮って口笛、2本指を振ってチッチッチ…)「甘いですなあ、皆さん……」(急に厳しい顔つき)「罠だったらどうするんだ!」
翠川「そんなっ、罠なんて…トナカンダーはホントに優しい奴なんだ!罠なんて、そんなこと…」

翠川の前に手をかざす赤星。
赤星「黒羽…お前の考えも聞きてえ」
黒羽「確かにトナカンダーは優しい怪人ではあったかもしれん…。だが!それこそがスパイダルの狙いとしたらどうだ? 子供が好きで平和に暮らすことを願うような怪人が出たら、癪なことだがオレたちは戦いづらい。下手をするとその怪人に肩入れするかもな…。 坊や、いざとなればスパイダルはトナカンダーの意識を操って暴れさせるかもしれないんだぞ」

絶句する翠川。続ける黒羽。
黒羽「それくらいの事はする連中だぜ。どっちにしても危険であることに変わりはない。被害者が出てからでは取り返しがつかん」

座ったまま俯く瑠衣のアップ。膝の上で握り締める拳。
瑠衣「あたしもそう思います!」
突然立ち上がる瑠衣。驚いて注目する4人。
瑠衣「だって…だっていくら優しくってもスパイダルなんでしょ? もし黒羽さんの言う通りだったら、あんなことがまた…」
OZ本部壊滅の映像。爆発、倒壊する建物、逃げ惑う人々。
瑠衣「また起こったりしたら……起こっちゃいけないもの! もうあんな事は起こさせたくないの…!!」

黙りこむ4人、それぞれのアップ。やがて口を開く赤星。
赤星「とにかく、まずはトナカンダーを保護するんだ。そうすれば黒羽が言ったような事態も避けられる。俺は博士に知ら…」
赤星が言いかけたところでスピーカーからサルファの人口音声。
サルファ「えまーじぇんしー・えまーじぇんしー!ぽいんと305ニ怪人出現、市街地ヲ破壊シナガラ移動中!緊急出動セヨ」

全員立ち上がる。
赤星「ポイント305!?」
黒羽「ビジネス街だ」
黄龍「やべーじゃん!」

行動開始する5人。

オズベース、格納庫。セクターに乗る黄龍・瑠衣。レッドハリケーンに乗りこむ赤星。オズブルーンに乗り込む黒羽。
翠川(心の声)「違うよな…トナカンダー、お前じゃないよな!」
赤星「輝!」
翠川「…は、はいっ!!」
セクターに乗る翠川。
黒羽「オズブルーン!GO!!」
赤星「オズリーブス、発進!!」

ベースを飛び出していく5機。


高層ビルが林立するビジネス街。ビルの角で大爆発、建物が倒壊。逃げ惑う人々。一角から火の手、あっという間に広がる。ビルの鉄骨が露出し、巨大な獣の腕でへし折られる。粉塵の中に巨大な影。取り囲んでいた警官たちも逃げ出す。瓦礫の下敷きになる人々。火に巻かれる人々。パトカーが列を作って止まっている。そこに乗り付けるパトカー使用の白いスポーツカーと赤と黒の覆面パトカー。白いパトカーから出てくる西条と2人の刑事。赤い覆面からまた4人。

警官「あ、あなた方は…」
西条(手帳を見せて)「特命課です」
刑事「何やってんだ、避難しろ!」
警官2「ほとんど避難しましたが…負傷者がまだ十数名残ってるんです!!」
刑事2「救急隊は!」
警官3「それがっ…!」
警官4「やられました! MIビルの向こうで……!!」

黒い覆面パトから出てくる黒いコートに白いマフラー、サングラスに特殊制帽の男。
(サングラスを取って)「なに?」
テロップ(警視庁特命課(現・対スパイダル特別捜査警察隊)本部長・警視監 風間俊介)
風間「西条!早見!お前らは奴の足を止めろ、奴は遠隔攻撃はできん!」
顔を見合わせて頷きあう西条・早見。

風間「柴田は手当ての必要のない救急隊員を助け出せ、残りは負傷者の救助! 行け!!」
特命課全員「了解!!」

一斉に走り出す刑事たち。
西条「こっちだ、いたぞ!」
早見「おう!」(指笛)「こっちだこっちだ、化けモン!」

粉塵の中で暴れる影がこちらを向く気配。
西条「よし、こっちだ来い!」
ビルに沿って走る西条・早見。追う影。粉塵の中に向かって銃を撃つ西条。ぐらついて足を上げる影。
早見「今だ!」
崩れる瓦礫を横っ飛びで避けて撃つ早見。浮いた足元に命中、倒れる影。上空、同じ一点に向かって発砲する西条・早見。工事中の吊ったままの鉄骨、ワイヤーに命中、切れる!粉塵の中の影の上に落下。
西条「よし、これで時間が稼げる!」
他の刑事たち、数人の救急隊員が負傷者を助け出す。

早見「田口、島!そっちはどうだ!」
島「こっちの区画は全員助けた!」
田口(ふと向こうを向いて)「おお、竹本、三上!」
竹本「こっちもOKだ!」
柴田「救急車は使えん!パトカーに乗せてくれ!」

負傷者を運び出して、パトカーに乗せていく。
西条「これで全員です!」
風間「ご苦労!」
頭上のビルに横のビルの鉄骨が刺さっている。パラパラ落ちてくる小さなカケラ。
風間「よおし、全員退避!あとはOZ特殊部隊に一任する!」



粉塵の中で蠢く影。鉄骨を弾き飛ばす。そこへ突然機銃掃射!道路スレスレに飛んでくるオズブルーン! ドリフトを効かせて急停車するレッドハリケーン。レッドハリケーンを中心に止まるイエロー・グリーン・ピンクのセクター。レッドハリケーンから飛び出してくる赤星。オズブルーンから飛び降り、赤星の横に着地する黒羽。セクターから降りてヘルメットを取る黄龍・翠川・瑠衣。

赤星「着装!」
4人「着装!!」
オズリーブスに変身!
レッド「龍球戦隊!」
5人(名乗りポーズ)「オズリーブス!!」

粉塵の中から唸り声。一歩前に出るグリーン。晴れていく粉塵…やはり現れたトナカンダー!
グリーン「トナカンダーっ!!」
頭の半分が鉄で覆われているトナカンダー。瞳の色が灰色に変わっている。首にはまだベルが…。

グリーン「そんな……トナカンダー!!」
トナカンダー「グゥオオオオッ!!」
ツノを振りたてて吠えるトナカンダー。鼻息も荒く突進。

レッド「危ないグリーン!」
レッドとブラック、グリーンに飛びついて避けさせる。走りすぎていったトナカンダー、急停止。振り返って再び突進する。
ピンク「任せて!マジカルスティック・電磁サイクロン!!」
スティックから電磁波。トナカンダーの動きが止まる。

ブラック「ブラックチェリー!」(構えて)「とりゃあっ!!」
何本もの矢がトナカンダーに命中、大爆発。
トナカンダー「ガアァッ!!」
電磁波をかき消した! 間髪入れずイエローのリーブラスター!
イエロー「これでも喰らえっ、リーブチャクラム!」(2つ手に持って)「たあっ!」
チャクラムが飛ぶ!トナカンダーの体を切り裂く。苦しむトナカンダー。

グリーン「そんな…トナカンダーがこんな……」
怒り狂うトナカンダー、苦戦しはじめる4人。ツノに突かれるブラック・イエロー。蹴飛ばされるレッド。体当たりを食らって吹き飛ぶピンク。以前の面影のないトナカンダー。グリーンの脳裏に走馬灯のように蘇る無邪気なトナカンダーの姿、光るベル。

レッド「うわあっ!!」
ブラック「ぐあっ!」
ピンク「レッド!ブラック!」
イエロー「よそ見するなピン……うわーっ!!」
転がる4人。迫り来るトナカンダー。
グリーン「ミドトンファー! といやっ!!」
飛び込んでトナカンダーを攻撃、突進を止めるグリーン! 4人を背に立ちはだかる。

グリーン「やめるんだトナカンダー!目を覚ましてくれ!」
ふと動きを止めるトナカンダー。グリーンを見つめる。
グリーン「トナカンダー、お前はホントは優しい奴なんだ!
こんなことできるはずがない!頼むよ、元に戻ってくれよっ!」
振り上げていた腕をゆっくりと下ろすトナカンダー。何か考え込むように下を向く。
トナカンダー「ウ……グ…」

その時!機械化した頭の一部に電流が走る。頭を抱えて苦しみ出すトナカンダー。
トナカンダー「グガアアァァアアッ!!」
グリーン「トナカンダー!!」
暴れるトナカンダー。取り押さえようと飛びつくグリーン。4人もそれに続く。が、あまりのパワーに投げ飛ばされる。

グリーン「トナカンダー、本当に操られてしまったのかっ!!」
ブラック「…………はっ!そうだ…」
立ち上がるブラック。続いて4人も立ち上がる。
ブラック「あの機械だ。ミド、前はあの頭の機械はなかったんだな」
グリーン「はいっ」
ブラック「突然の豹変、考えられる原因はあれしかない!みんな下がれ!イエロー!!」
イエロー「OK!」
ブラック「ブラックチェリー!」
イエロー「リーブチャクラム!」

それぞれの武器を構えるブラック・イエロー。
グリーン「待って!!」
2人の前に立ちはだかるグリーン。
グリーン「オレにやらせて!オレがトナカンダーを助けるんだ!!」
ブラック「どけ!ミドトンファーでは無理だ、リーブラスターでも壊せん!」
レッド(ブラックを手で制して)「待てブラック!…………信じるぞ、グリーン」
グリーン「はいっ!!」

ミドトンファーを構えるグリーン。苦しみに暴れ回るトナカンダー頭部の機械に向かっていく。が、振り回すツノに弾き返される。再び飛び掛る。トンファーとツノが激突、火花。
トナカンダー「グアオオッ!!」
蹄の一撃を喰らって宙に飛ぶグリーン。
ブラック「ミド!!」
イエロー「グリーン! ああ、ダメだぜ!!」
ピンク「もう見てられない!マジカル……」
スティックを持つピンクの手を押さえるレッド。レッドの顔を見上げるピンク。軽く首を横に振るレッド。

よろめきながらも立ち上がるグリーン。また立ち向かっていく。
グリーン(心の声)「トナカンダー……」
闘うグリーンとトナカンダーに、公園や洞窟で遊んだ映像が重なる。闘いながら激しく揺れる、トナカンダーの首のベル。

グリーン「目を覚ましてくれーっ!!」
ジャンプ!回転するトンファーがトナカンダー頭部の機械を破壊!!コードやリード線が飛び出し、火花を散らす。

トナカンダー「グッ……ウオオオォォ……!!」
仰向けに倒れこむトナカンダー。急いで抱きとめるグリーン。ぽろりと落ちるコントロールチップ。

グリーン「トナカンダー!トナカンダーしっかりしろ!!」
うっすらと目を開けるトナカンダー。トナカンダー視点、ぼんやりと見えるグリーンの顔。だんだんはっきりしていく。

トナカンダー「………………………アキラ………?」
グリーン「そうだ! そうだよアキラだよ!!」
身を起こすトナカンダー。
トナカンダー「…オレ…ゴリアント様に怒られて、
それで……う〜ん、なんでこんなとこにいるんだ?」
グリーン「トナカンダー…」

トナカンダー「それよりアキラ、そのカッコウ何だ?」(他4人を見て)「あっ!おめえら!」
レッド(一人歩み寄って)「…すまねえトナカンダー、俺たちは思い違いをしてたんだ。俺たちは…」
グリーン(レッドの言葉を遮って)「ほ、ほらトナカンダー! オレも最初会った時、怒ってただろ。あれと一緒なんだ、ごめんな。トナカンダーとおんなじ、みんなオレの友達だ…許してあげてくれないかな」
トナカンダー「う〜ん…そんならしょうがねえ。なあアキラ、オレどうしてたんだ? 何かしてたんだ、オレ」

身を乗り出すピンク。止めるイエロー。ゆっくり首を振るグリーン。
グリーン「なんにも…なんにもしてないよトナカンダー。ここで眠ってただけだよ」
トナカンダー「そっかー、オレこんなとこで寝てたのか」
グリーン「そうだよ!こんなとこで寝たら風邪ひくぞ。オレたちと一緒に行こうよ、な」

レッドを見上げるグリーン。
レッド「グリーン……」
ためらうレッド。が、やがて頷く。
グリーン「やったぁ!いいって、トナカンダー!」
トナカンダー「どうかしたか?」
グリーン「オレたちの家に来るんだよ、平和に暮らせるようになるんだ!」

喜び合うグリーンとトナカンダー。いつのまにかレッドの後ろに来ていたブラック。
ブラック「どういうつもりだ」
レッド「……」
ブラック「これだけの被害を出し…」
レッド「分かってる! だがそれでも…」

突然爆発音。  振り向くレッド、ブラック。走り寄るイエロー、ピンク。
グリーン「‥‥!!」
トナカンダーの体で大爆発。爆風で吹き飛ばされるグリーン。爆発が収まった時、倒壊したビルの上から声。

ゴリアント「大バカ野郎!!人間なんぞに肩入れするからこうなるんだ!!」
スプリガン「チップがやられるとは意外だったぜ」
見上げる5人。
レッド「ゴリアント! スプリガン!!」
スプリガン「へっ、覚えててくれたかい。久しぶりだぜオズリーブス!」
ゴリアント「毎度毎度ちょろっちょろ邪魔な連中だ!!踏み潰してやらあ!!」
ブラック「何ぃ!?」

ツノから光線を出すゴリアント。光線を浴びるトナカンダーの死体。光線がトナカンダーの形になり、巨大化。
ゴリアント「こうなっちまえばつまらねえ感傷もクソもねえ、やっちまえトナカンダー!グハハハハ…!!」
スプリガン「ご機嫌じゃねえかゴリアント、はなからこうしてりゃよかったんだ」
(5人に手を振る)「あばよ兄弟!」

消えるゴリアント、スプリガン。暴れる巨大トナカンダー。
レッド「なんて奴らだ、自分の仲間を…!」
ブラック「レッド、リーブロボだ!」
レッド「おう!ジェットドラゴン、発進!」
ブラック「ランドドラゴン、GO!」
イエロー「カモン・ターボドラゴン!」
ピンク「スタードラゴン、発進!」

動かないグリーン。
ブラック「ミド、ラガードラゴンを!」
グリーン「…ダメだ!オレにはあいつを殺すなんてできない!」
ブラック「こうしている間にも被害者が出てるんだ!」
ピンク「ラガードラゴンを呼ばないと止められないわ!」

震えたまま俯くグリーン。
グリーン「トナカンダー………」
顔を上げるグリーン。
グリーン「ラガードラゴン!発進!!」

各メカが発進!
レッド「合体シフト、リーブロボ!」
合体してリーブロボ完成!
レッド「チャージアップ、リーブロボ!!」
巨大トナカンダーと対峙するリーブロボ。組み合う2体。ツノの攻撃を喰らうリーブロボ、地面に激突。肩膝をついて立ち上がり、向かってくるトナカンダーの勢いを利用して投げ飛ばす。

レッド「今だ!」
トナカンダーの体を逆さに抱え上げる。
レッド「リーブロボ、ドラゴン重力落とし!!」
トナカンダーを抱えたまま飛び上がり、足の裏のジェットで飛び上がる。そのまま短時間で空を飛び、荒野の上空へ。急降下しトナカンダーの頭を地面に打ち付ける。離脱するリーブロボ。ふらつきながら立ち上がるトナカンダー。

レッド「行くぞ!龍球剣だ!!」
スイッチを押すレッド。リーブロボの手に龍球剣。
レッド「龍球剣リーブクラッシュ!!」
龍球剣の柄に5色の星が集まり、剣が光る。巨大トナカンダーを一刀両断。大爆発、トナカンダーの最期。


荒野にたたずむリーブロボ。その足元に着装を解いた5人。走る翠川。トナカンダーが爆発した辺りで立ち止まる。肩で息をしている。ふと遠くに目をやると、荒野に一点光るものがある。走りよってみると、ボロボロになって砕けたベル。その場に膝を突き、地面の砂利を握り締める翠川。


スパイダル基地。

BI「馬鹿者めがっ!!」
手から稲妻を出し、ゴリアントに叩きつける。
ゴリアント「しっ、司令官! 確かにオレっちも失敗しやしたが、この作戦はそもそもスプリガンの野郎が……!」

肩をすくめるスプリガン。
スプリガン「おいおい、何を言い出すかと思えば責任転嫁かい? おめえらしくねえぜ。だいたい今回の作戦はおめえに一任すると司令官はおっしゃりなさったんだぜ。オレが手を出す訳ねえじゃねえか、ん?それともオレが邪魔でもしたって証拠でもあり?」
シェロプ「ハッ!これだから下賎の者は……それでも四天王か、愚か者め!救い難い下等生物だ」
アラクネー「その通りだわゴリアント、いい恥さらしよ。力だけの低脳は我らスパイダルには必要ない!!」
ゴリアント「てっ、てめえらぁ〜……!!」

BI「黙れっ!」
ゴリアントに雷を落とす。
ゴリアント「ぎゃああっ!!」
BI「貴様に任せたのが私の間違いだったわ…ええい、もう良い!去れ!!」

逃げ去っていくゴリアント。別な方へ去るスプリガン。
BI「どこへ行くスプリガン…」

立ち止まり、ゆっくりと振り返るスプリガン。
BI「話はまだ終っておらぬぞ。ゴリアントの言葉…あれは一体どういう意味だ」
アラクネー「司令官!ゴリアントめの言葉など…」
BI「………」
引き下がるアラクネー。
シェロプ「バカめ…しゃしゃり出るからだ」
BI「どういう意味かと聞いているのだ」
スプリガン「さあ…ゴリアントの奴も、土壇場で他人に罪をなすりつける程度の知恵はついたってことですか、ねえ」
BI「ふ………」

マントをばさりとさばくBI。
BI「よかろう。皆の者!ゴリアントの作戦は失敗に終った。次なる手は講じてあるのだろうな!」
アラクネー「ははっ」
スプリガン「アイアイサー」
シェロプ「はっ…」
3人をゆっくりと見回し、マントを翻し闇の中に消えていくBI。


楽しげなクリスマスソングが流れている。街の人々も楽しそう。プレゼントの箱を抱える人、ケーキの箱を片手に下げている人。サンタの扮装をした人が看板を持って踊るように歩く。イルミネーションが輝き広場に大きなツリーが飾られている。

森の喫茶もなかなかの飾りつけ。ドアには大きなリース。店内。壁にはモール、窓には白い塗料でサンタクロースなどの絵が描かれている。ツリーに飾りつけをする瑠衣と有望。ケーキをつまみ食いする黄龍と洵。厨房から顔を出した葉隠にどやされる。スタッフルームから出てくる田島。それを見て厨房に入り、ケーキの箱を持ってくる瑠衣。田島に渡す。不思議そうに見る黄龍と洵。それに気付いて照れたように苦笑する田島。

変わって格納庫。オズブルーンの操縦席で寝転がっている黒羽。その横を小走りに通る赤星。黒羽に気付いて立ち止まる。その手にツリーの飾りつけの大量に入った箱。小さなサンタクロースを手に、黒羽の目の前で振ってみせる。箱の中から小さなリースを取り上げる黒羽。それを操縦桿にかける。人工知能のランプを点滅させるオズブルーン。森の小路に上がる赤星。瑠衣がせかすように手招きする。有望、カウンターに座る田島の手を引っ張る。みんなでツリーの飾りつけ。


森の奥深くの洞窟の前。小さな木が立っている。そこにしゃがんでいる翠川。パーカーのポケットから壊れたベルを取り出し、細い枝に結びつける。クリスマスソングがだんだん遠くなり、立ち上がる翠川。変わって流れ出すオズリーブスのテーマ曲。

ナレーション「輝は思った。真の平和とは何なのか。悪とは滅ぼしさえすればそれでいいのか…。苦しみを超えて、立ち上がれ輝。それがオズリーブスの、お前の友トナカンダーの願いなのだ」

===***===(エンディング)===***===
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