「森の小路」の怪文書事件
翠川「なあに、リーダー、集まってくれって?」 瑠衣「あれ、瑛那さんがいない?」 赤星「黄龍はいいんだ。いや、ちょっと、お前達の意見も聞きたいんだ。ここをクリックして、ちょっとこれを見てくれ。別ウインドウになってるから、見ながら話に乗ってくれると助かる」 翠川「な‥‥なんなの、これ?」 赤星「コーヒー豆の在庫調べてたら、袋の間から出てきたんだ‥‥」 黒羽「まるで判じ物だな‥‥‥‥」 瑠衣「あ! あたしこーゆー絵とお話の混じったやつ好き! えっと‥‥ きりゅーが‥‥ってことは、瑛那さんが、アセロちゃんにやられて‥‥。アセロちゃんって?」 黒羽「たぶん、アセロポッドのことだな。特警ではアセちゃんって呼んでるらしい」 翠川「え? じゃあ、これ、特警の秘密文書なの?」 赤星「違うとは思うが‥‥もしかするとそうなかもしれん‥‥。瑠衣、続きは?」 瑠衣「だから、瑛那さんがアセちゃんにたくさん殴られて、顔が腫れて、ナンパができなくなるって嘆いて‥‥」 黒羽(紙を持つ瑠衣の手がわなわな震えているのを見て)「瑠衣ちゃん。落ち着け。これはオレたちのチームワークを乱そうとする陰謀かもしれんぞ」 瑠衣(気を取り直して)「あ、そ、そうね。えっと、それで誰かがお姉さまのことを呼んでる‥‥え、これ、あたし?」 黒羽「となると、その隣は坊やのようだな」 翠川「オ、オレ? じゃ、じゃあ、これが主任と‥‥あー、これ、まさかお菓子博士に変装したハカセ? なんかどっかで見た人みたい‥‥」 黒羽「で、察するに、主任が博士から瑛ちゃんの新しい首を受け取り、旦那に渡す。で、赤星、お前がそれをぼこになった瑛ちゃんに投げるんだ」 赤星「く、くびっ‥‥! お、俺はそんなもん、受け取ったり投げたりしたくねーっ」 黒羽「あきらめろ。リーダーとしてはメンバーの首に責任を持たないとな」 赤星「い、いやだ‥‥だ、だ、だって‥‥生首なんて‥‥っ 何かを思い出すっっ」 黒羽「しかしお前の役割は重要らしいぞ。受け取った首を投げ、回転によって前の首を弾き飛ばして新たな首にすげかえる‥‥。これは絶妙なコントロールと手首のスナップが必要だな」 赤星「お‥‥おい‥‥。そんなこと‥‥」 黒羽「安心しろ。俺もギターで応援する。しかし、これが瑛ちゃんの秘密だったんだな‥‥」 赤星「‥‥‥‥‥‥」 翠川「‥‥‥‥‥‥」 瑠衣「‥‥‥‥‥‥それって、どうゆう‥‥」 黒羽「瑛ちゃんの首は自由にすげかえることができる。道理であんな色んな女をナンパできたはずだ。そのたんびに違う顔を使っていたに違いない‥‥」 瑠衣「そ、そんな‥‥っ」 黒羽「赤星。お前、さっきこれ、コーヒー豆の棚で見つけたって言ってたな‥‥」 赤星「あ、ああ‥‥」 黒羽「となると、この怪文書を書いたのは‥‥」 翠川「り、理絵さん!?」 赤星「理絵さんがどっかで黄龍の正体を見ちまって‥‥それを知らせるためダイイング・メッセージを‥‥‥‥」 翠川「ちょっとリーダーっ それって死んじゃった人が書くやつでしょっ」 赤星「いや、理絵さんなら生きてたってダイイング・メッセージの一つや二つ、書けるっ」 瑠衣「二人とも、問題はそんなことじゃないわっ 死ぬ間際にこんなややこしいモノ書ける人がいるのかってことよっ」 赤星「いや、あの人なら楽勝で出来るっ!!!(いきなり何か思い出して)あ、そういえば、裏にも絵があったんだ。ここをクリックして裏返してくれ!」 瑠衣「これは‥‥。真ん中に立ってるのが瑛那さんで‥‥、瑛那さんが勝ったところ?」 翠川「倒れてるのは二つのアセロポッドと‥‥ナマって何?」 赤星「火が通ってないってことだろ」 翠川「じゃ、アセロポッドと4つの生首が‥‥」 赤星「だあああっ 生首はやめろーっ」 瑠衣「これ、まだ生きてるって意味じゃないの? となると‥‥わかったわ! これ第7話で、瑛那さんが一人で敵と操られた人を倒した時の話よ、きっと! あーあ、あたしも見たかったわー」 赤星「ちょっと待て。第7話じゃ理絵さん、まだココに来てないじゃないか」 瑠衣「このシーンを見ているのは‥‥この中じゃただ一人‥‥」 翠川「じゃ、この怪文書は黒羽さんが‥‥?」 黒羽「どうしてそうなるんだ!? オレがこんなもの書いてなんになる?」 赤星「さっきから黙りこくってるのが怪しい!」 黒羽「あまりにバカバカしい展開についていけないだけだ!!」 瑠衣「いーえ、怪しいわ! この間もお買い物のあと、瑛那さんを殴ってたしっ。 黒羽さんっっ いったい瑛那さんになんのウラミがあるの!?」 黒羽「あの時は旦那だって殴ってただろー!?」 赤星「あれはなー!」 (喧々囂々侃々諤々の森の小路‥‥) N「4人とも、この怪文書が、あまりに客がこなくてヒマをもてあました理絵が前日に見たフルカラーの超リアルな夢をスケッチしたものであることを、知らない‥‥。不現理絵。彼女は常識では捉えることの出来ない恐るべきアルバイトなのであった‥‥」 (戻る) |