No Exchange!
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3次元にて。
すでに着装済みのオズリーブスの前に怪人『ニス』の姿。

ニス「ハハハハハハハ!よくぞ現れたなオズリーブス!!いいか、お前らなんかこのオレがイチコロだぞ!!!」
レッド「うるせえ!!いつもいつも同じセリフ言いやがって!!」
ブラック「覚悟するんだな」
グリーン「それじゃあ、いっくよーっ!」
AinS「待ちなさい!オズリーブス!」

空中に現れたアラクネー(inシェロプ)、シェロプ(inアラクネー)。
AinS「5人がかりなんて卑怯じゃなくてオズリーブス…?正義の味方なんでしょ?」
イエロー「いや、お前らに言われたくねーっていうか、なんでカマ言葉なわけ、あいつ?」
ピンク「やだキモーい………」

SinA「黙れ!!この私が話している訳ではないっ!!それ以上心外な事を言うと、私が直々に相手をするぞ貴様ら!!」
ブラック「きょ、今日のお嬢さん(アラクネーの事)は妙に威勢がいいというか居丈高というか……」
グリーン「乱暴なしゃべり方なんて似合わないよっ!」
AinS「おだまりなさいっ!!私だって好きでこんな」
SinA「なっ………!!それは私のセリフだぞ!!」
AinS「やかましいっ!!大体……」

ニス「あのー……オレアラクネー様達からも、オズリーブスからもほっとかれてるんですけど、どうしたらいいんですかー………………」
レッド「お、おいこら!!四天王が二人も直々に出てきて、やる気あんのかねえのかどっちなんだよ、オイ!!?」
スプリガン「ねえなハナっから」

ロボットバードの中継映像を見つつため息をつくスプリガン。
それとは対照的に笑いすぎて腹の筋肉をおかしくしたゴリアント。

スプリガン「大体、あの二人がコンビを組むってえ事自体が間違ってんだよナ。ま、仕事とはいえこれは司令官殿の責任かねエ」
ゴリアント「(まだ笑っている)み、水と油、ヘビとマングー………マンガだったか?イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ……」
スプリガン「はあ〜〜〜〜〜(長いため息)。……こりゃ、オレが解説する間でもねーな」

AinS「とにかく、5人対1体じゃなくて、もっとフェアな戦いをさせてあげるわオズリーブス。シェロプ、早く!」
SinA「フン」

不本意ながら指を鳴らそうとするSinA。しかし、


スカッ


SinA「ん?」
AinS「え?」
オズリーブス「は?」
ニス「………………あれ?」

AinS「(怒り心頭)何してるのっ!!早く指をならしなさい!!こんな時でも足を引っ張る気なの!?」
SinA「貴様、私が協力してやっているのを忘れるな!!いいか、見ていろ!」

人差し指と親指をすりあわせて、


スカッ


レッド「……………………………あ、(あっけにとられていたがようやく気が付く)と、とにかく皆行くぞ!!」
全員「おうっ!!」
ニス「ちょちょちょちょ、ちょっと待て!!オレは5体に分身して戦う事になってんだぞ!!!ちょーっと待て!!」
ブラック「なんだとそういう事か!!?」
AinS「(キレている)しゃべるなバカモノがっ!!!」
ニス「あ、つい……ってああっ!?」

すでにできあがっているスターバズーカ。
ニスの脳裏に今までこっぱみじんにされた怪人達の映像が走馬燈のように流れる。

ニス「記憶が走馬燈ってヤバイ!!アラクネー様、早く助けてえ!!」
レッド「(こちらもなんだか不本意)そ、それじゃいくぞみんな!!スターバズーカ!!」
全員「ファイヤーっ!!!」
AinS「な…んですってっ?」

こっぱみじんになるニス。
AinS、宙にへたり込みそうになりつつ……SinAの胸ぐらを掴む。

AinS「貴様っ…………!!!何考えている!!!どこまでジャマをする気なのっ!!」
SinA「なんだと貴様!!自分の怪人の性能を棚上げにして、私にその責任をなする気か!?」
スプリガン『(脱力気味)お〜〜〜い、二人とも戻ってこいや………。司令官殿からバッチリお説教が待ってるゼ』

宙から聞こえるスプリガンの声。後ろから笑い死にしそうなゴリアントの声も聞こえる。
ギロリとガンを飛ばしあったあと、どこへともなく消えるAinS、SinA。


着装を解いたオズリーブス達があとに残る。

黄龍「な、なんだった訳……?マジなんだったのあいつら……?」
瑠衣「シェロプもアラクネーもなんか様子が変だったし……」
輝「もしかしてさあ、あの二人って……(黒羽健を見上げる)
黒羽「物好きな一般人のコスプレだったかもな」
赤星「ええええええ!! 俺達それじゃ一般人を………。そんな…」

黄龍「(脱力)一般人が宙に浮くわけねーだろ………」



スパイダルにて。
BIから雷撃とお小言の両方を喰らわされているアラクネーとシェロプ(元に戻った)

BI「いいか、若い時はなんでも一人で出来ると思っているがそれは違う!一人で出来たと思っていても、影ながら誰かがサポートをしていたり、アドバイスをされることでできあがった事が一人でできたとでも思うのが!!若さなのだ!しかしいくらなんでもお前達は協力しなさすぎだ! !私は皇帝陛下に会わす顔がない………ブツブツ………………!!」

ゴリアント「あーあ、オッサンのセリフだな……司令官てば。(面白そうに)お貴族様も嬢ちゃんも気の毒に。しっかし、なんでシェロプは指鳴らさなかったんだ?」
スプリガン「『鳴らさなかった』じゃなくて『鳴らせなかった』んだろうさ、最初に鳴らせたのは偶然だナ。本人も『鳴った』なんて意外そうにホザいてたしよ」
ゴリアント「バッカじゃねえの!?そんくらい誰でもできっだろ?それに、指鳴らしたら誰かが来るモンなんだろ貴族ってえのは?『お待たせいたしました〜』ってよお?」
スプリガン「(苦笑しつつ)指鳴らす必要なんてなかったろ侯爵殿は。ガキの頃から望むだけでなんでも手に入ったろうしよ……」



スプリガンのナレーション
とまあ、こーいう感じでスパイダル帝国四天王の会話は続いたり止まったりする。今みてえなくだらねえ会話から、重要機密がてんこもりになった会話までその数は腐るほどだ。なにかと陰謀やら機密事項やらが多いスパイダル帝国軍だが、トップシークレットは……………。
オレ達のこのチームワークのなさ加減かもしれないねエ………。

やれやれ。



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