龍球戦隊オズリーブス VS 野菜戦士ベジグルV
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(声:八奈美乗児氏)「スパイダルとの戦いが終わって2ヶ月が過ぎ、人々はつかのまの平和を満喫していた。だがかつて幾度となく侵略者に狙われた地球‥‥そしてこの日本が、そうそういつまで平穏無事にいられるわけはなかった‥‥‥‥」

早朝。中空にいきなり光が出現し、それが街の外れに向かって落ちていく。

タイトルIN「龍球戦隊オズリーブス vs 野菜戦士ベジグルV」
提供「大塚●薬」

オープニング


喫茶「森の小路」。赤星、有望、瑠衣の三人が喫茶店のTVを見ている。

キャスター「‥‥は事態を重く見て、公開捜査に踏み切りました。現在行方不明になっている小学生は次の8人です‥‥」
画面に子供の写真と名前が流れていく。

瑠衣「やだ〜。なんのかんの言って、けっこうご近所で起こってるんだ‥‥」
有望「でも、家にいていきなり居なくなった子が3人もいるんでしょう?」
赤星「ああ。何かヘンな事件だな‥‥」

ドアベルが鳴って黄龍が入ってくる。

瑠衣「あ、瑛那さん!」
赤星「よお! 黄龍!」
有望「あら、何か‥‥疲れてるみたいね?」
黄龍「うーん。ちょっとね〜。それより、はい、瑠衣ちゃん」(瑠衣に箱を渡す)
瑠衣(箱の中のパイを見て)「わーい! ポンム・ド・ノルマンディ!」
黄龍「この時期しか無いんだろ、それ」
瑠衣「ありがと! あたしこれ、大好きなの!」(まじまじと黄龍の顔を見て)「でも、ほんとに疲れた顔してるよ、瑛那さん。どうしたの?」

黄龍(座りながら)「とにかくさ、コーヒーひとつ」
赤星(カウンターに入って豆を出しながら)「紅茶党のお前が珍しいな。徹夜明けか?」
黄龍(頷いて)「ほら例の小学生行方不明事件。あれ絡み」
瑠衣「え‥‥。佐原さんの所にも依頼が‥‥?」
黄龍「っつーか、今、警察からあちこちの探偵事務所にも協力要請が出ててさ。今、所長と俺様しかいないじゃん。けっこう大変でさ〜」

有望「黒羽君‥‥連絡取れないものね‥‥」
赤星「まったくなぁ。あ、俺で良かったら手伝おうか?」
黄龍「ご冗談。新婚さんのジャマなんかしたくねーって。で、どーよ。お二人さん?」
赤星「え‥‥。ま、まあ‥‥‥‥」
真っ赤になる赤星。恥ずかしげに俯く有望。笑う黄龍と瑠衣。


と、乱暴にドアが開いて、半纏姿の小柄な若者が飛び込んでくる。
輝 「大変だよ、りーだーっ!」
赤星「なっ どーしたんだよ、輝!」
黄龍「相変わらず、やかましいね〜」
(きょとんとして)「あ、エイナ。なんでいんの」
黄龍「んなの、俺様の勝手っしょ。あーあー、衣装がブカブカでカッコ悪いったら‥‥」
輝 「うるさいなっ オレの分は、今特注してて‥‥っ」
有望(二人を押しとどめて)「‥‥で、輝君。どうしたの?」

輝 「あ、そうだ! 大変なんだ! 子供が消えちゃったの!」
全員「え!?」
輝 「今ちょうど、榛名神社の補修工事してるんだけど‥‥‥‥」

回想シーン
神社の社の屋根の上で補修作業をしている輝。額の汗を拭いて隣の空き地を見ると草野球をしている子供達。ホームラン・ボールが神社の方にとんでくる。
一人の子供が追いかけてきて輝の死角に入る。すぐに悲鳴が上がる。
輝の声「びっくりして降りていったらさ‥‥‥‥」
社の前に駆け寄る輝と大工仲間。お供えのカボチャがかたかた震え「助けて」という小さな声を発したあと、光に変わって空に上っていく。


森の小路。
有望「じゃあ、そのカボチャのせいで子供が消えたって言うのね?」
輝 「でも、警察は信じてくれないんだよっ 見たのオレだけじゃないのに」
黄龍「ムリねーだろ。でも、んならいきなり家の中から消えたってのも、通るよな」
瑠衣「ってことは犯人はスパイダルの残党?」
赤星「輝。そのカボチャ、どこで買ったかわかるか?」
輝 「一昨日、行商の人から買ったみたい。新顔だけどすごく新鮮で安かったんだって」
赤星「そうか。とにかくスパイダルってならほうっちゃおけねえ。行ってみよう!」
有望「ちょっと待って。今リーブレスを持ってくるわ!」


榛名神社の境内。やぐらが立っていて工事中になっているが人はいない。そこにやってくる赤星、黄龍、輝、瑠衣の4人。
瑠衣「あれ、誰もいない?」
輝 「うん。親父と社の人が警察に呼ばれちゃったから、今日は休みになったんだ」
赤星、社の中の供物に気づく。籠が傾いて茄子とキュウリが落ちている。近くに行って取り上げてみるが‥‥
赤星「ごく普通の野菜に見えるけど‥‥」
黄龍(あたりを見回して‥‥)「あ‥‥なんか、聞こえねー?」

流れてくる物売りの声「産地直送の野菜はいかがですか? カボチャ、ニンジン、ナス、レタス‥‥どれもとっても新鮮ですよ!」
4人、顔を見合わせて声の方に駆けていく。

道端に青いトラック。「ベジタブル・グルメ」と書いてある。荷台に並べた野菜を売っている男。何人かの主婦が野菜を買っている。そのうちの1人を黄龍が呼び止める。

黄龍「あ、奥さん、お忙しいとこすいません」(にっこり営業スマイル)
主婦「は、はい?」
黄龍「あの行商のトラック、よく来るんですか?」
主婦「いえ、まだ2回目よ。おとといが初めてだったかしら。トマトを買ったんだけど、凄く美味しかったのよ。最近このあたりに来るようになったって言ってたわよ」
黄龍「そうなんですか。いや、ありがとうございました」

主婦に礼を言ってあとの3人に目配せする黄龍。客が途切れるのを待ち、4人トラックに近づく。
赤星「へぇ。うまそうだなー」
男「らっしゃい!」
黄龍「おじさん、見ない顔だよねー」
男「へい。つい最近こっち回り始めたんで」

輝と瑠衣。さりげなく運転席の方に回る。助手席側に上ってドア窓から中を覗き込む輝。ドアをそっと開ける。助手席に黒い箱。荷台の方では男と、赤星、黄龍が話し込んでいる。

赤星「これ、まとめて買いたいんだけど、回って貰えるかな」
男「いや。全部ってのはちょっと‥‥。お客さん、なんでそんなに沢山必要なんで?」
黄龍「あ、俺たち、子供向けのクッキング・スクールの裏方なんだけど、いつもの仕入れ先が食材が用意できないってんで困ってたんだ」
(ぴくりとして)「子供? へぇ。幾つぐらいのお子さんです?」
黄龍「ほら、今、小学生の料理って流行ってるじゃん。そーゆーヤツ」
男「ほーほー。そういうコトなら喜んで! で、どちらに行けば‥‥」

黒い箱を開ける輝。中には大きめのカプセルが2つ入っている。
(輝と瑠衣に気がついて)「あ――! 貴様らっ」
黒い箱を閉じて抱き上げる輝。赤星、黄龍、輝と瑠衣の元へ
男「それを返せ!!」
男、カボチャを模した怪物の姿に変わる。

4人「わっ スパイダル!?」
カボチャノイド「違う! 私は究極野菜の王たるカボチャノイド! 人間を糧としてこの世を野菜の王国とする!」
赤星「なにぃ! そんなことさせるか!」
カボチャノイド「ええい、やかましい! 早くそのカプセルを返せ! せっかく生きの良い子人間を2匹も収穫したってのにっっ!」

輝 「じゃ、じゃあ、このカプセルは‥‥っ!」
カボチャノイド「それを飲めば子人間のエネルギーを丸ごと無駄なく吸収できるのだ!」
瑠衣「ひどい! なんてことするのよっ!」
カボチャノイド「ええい! まだ食べられる部分をどんどん捨てる人間どもが何を言う! 我々は人間を廃棄率ゼロで吸収できるんだぞ! 尊敬しろ!」
黄龍「そーゆー問題かよ! あとの子供はどーした!」
カボチャノイド「私の獲物はその二つだけだ! だから早く返せ!」
赤星「誰が返すか! みんな着装だ!」
3人「おう!」
カボチャノイド「なにっ!」
4人「着装!」

変身する4人。キメポーズ。
レッド「レッドリーブス!」
イエロー「イエローリーブス!」
グリーン「グリーンリーブス!」
ピンク「ピンクリーブス!」
レッド「地球の平和は俺達が護る! 龍球戦隊!」
4人「オズリーブス!」

巨大カボチャと4人の戦い。
レッド「ブレードモード!‥‥あ、あれっ?」
食い込んだ刃が動かない。カボチャ、レッドを振り払う!
レッド「わっ」
グリーン「リーダー! カボチャの皮は硬いから気を付けないと!」
ピンク「そうだ! 加熱すれば切りやすくなるわっ!」
イエロー「まかせろ。リーブラスター!」
カボチャノイド「そんなもので美味しくなってたまるか! シード・マシンガン!」
カボチャ。種のようなものを大量に飛ばす。4人の体に当たって爆発!
4人「うわあっ」

イエロー「バズーカ無いと歯がたたねー!」
レッド「ダメだ! 今、研究中でバラバラになってる!」
グリーン「どうしよう!」
カボチャノイド「ふっふっふっ どうした、そこまでか! ちょっと成長しすぎだが、そこまで元気なら喰ってやる! 収穫!」
カボチャノイド。カボチャを取り出す。カボチャ、ピンクに向かって光線を照射。
ピンク「きゃあああっ」
ピンク、カボチャに吸収されてしまう。
3人「ピンク―――ッ!」
カボチャノイド「よーしよし! まあまあかな」
イエロー(チャクラムを構えて)「この野郎‥‥っっ!」
カボチャノイド「おーと動くな。今ならまだこの子は助かる。その二つのカプセルと交換だ!」
レッド「そっ‥‥それは‥‥」
カボチャがぱっと光ってカプセルに変わる。
カボチャノイド「ほーらほら。飲んじゃうぞぉおお」
3人「止めろ――っ!」

いきなり横から飛び込んでくる影。カボチャノイドの手からカプセルを奪い取る。風になびくピンク色のマント。
声「気円斬!」
またまた白い円盤状の物体が飛んできて、カボチャノイドをまっぷたつに斬る。
レッド「なんだ!?」
グリーン「誰なの!」
イエロー「カプセルは!?」

声「安心して下さい。もう大丈夫です!」
レッド、イエロー、グリーン。声の方を見上げる。宙に浮かんでいる3つの影。3人とも目の部分が隠れるようなヘルメットと長いマントを着用している。
レッド「誰だ!?」

3人が地面に降りてくる。中央の人物は赤いマントとメット。右はピンクのマントとメット。左は小さな子供で青いマントとメット。
赤いマントの少年「悪はぜったい許さない! グレートサイヤマン1号!」
ピンクのマントの少女「平和な世界を築くため! グレートサイヤマン2号!」
青いマントの子供「正義の怒りが炎と燃える! グレートサイヤマン‥‥‥‥」
赤いマントの少年「あー!! 違った!!!」

見ているオズリーブス3人、こける
中央の少年がオズリーブスの元に駆け寄ってくる。
赤いマントの少年「あ、違うんです! 今のは忘れて下さい!!」
3人「は‥‥はい‥‥」
赤いマントの少年、あたりを見回す。トラックの字を見て‥‥
赤いマントの少年「えーと、そうだ! 僕はベジレッドです! で、あっちがベジピンク、でもって小さいのがベジブルーって言います!」
レッド「ほ、ホントですか?」

ベジレッド「もちろんです! いやー、感激だなぁ! あなた達も正義の味方ですか!?」
レッド「いや‥‥そーかもしんねーけど‥‥なんか、ちょっと‥‥」
イエロー「そ、それより、カプセルは!? ピンクは!」
ベジピンク「大丈夫よ! ほら!」
ベジピンク、手の中のカプセルを見せる。
イエロー「る、瑠衣‥‥あ――っ!!」
ベジピンク、ピンクリーブスの入ったカプセルを地面に投げつける
3人「わーっ‥‥‥‥って、あれ?」
カプセルがわれて白い煙が沸き立つと、ピンクが座り込んでいる。
ピンク「あ、あれ? あたし、どーなって‥‥‥‥」
3人「ピンク!」

グリーン「‥‥‥‥ってことは‥‥これも?」
グリーン。カボチャノイドから奪ったカプセルを取り出す。
ベジブルー(ふわふわと浮かび上がってグリーンの手の中を見る)「それってもしかして‥‥」
グリーン「あ‥‥あの‥‥子供達が入ってるって言ってたけど‥‥」
ベジレッド「地面に投げつけてみて下さい」
グリーン「こ、こう?」
グリーン。カプセルを1つずつ地面に投げつける。子供が現れる。顔を見合わせるオズリーブス4人。そして微笑むベジ戦士たち‥‥。


手を振って子供達が帰っていく。それを見送る赤星、黄龍、輝、瑠衣。それにベジレッド、ベジピンク、ベジブルー
赤星「いや、助かりました。それであなた達は‥‥」
ベジレッド「正義の怒りが炎と燃える‥‥!」
赤星「あ、そ、それは‥‥もう‥‥。えーと、いったいどちらの方なのか‥‥と‥‥」
ベジピンク「実はあたしたち、未来から来たんです」
4人「み、未来ぃい!」

ベジレッド「実は僕たちの世界では野菜を大きくする研究が進められていたのですが、その過程で知性を持った野菜が生まれてしまったんです」
赤星「あのカボチャが言ってた究極野菜ってヤツですね?」
ベジレッド「はい‥‥。それがタイムマシンを奪って、この時代に来てしまって。僕たちはそれを追いかけてきたんです」
黄龍「居なくなった子供はあと7人‥‥。でもあのカボチャ野郎は他は知らねーって言ってたよな」
ベジピンク「すいません。逃げ出した究極野菜は全部で4種類。あと3種類がどこかに潜伏していると思われるんです‥‥」

輝 「見つけ出す方法はないんですか?」
ベジピンク「それがこの時代だと探知機が働かなくて‥‥。それにあと2名の仲間が‥‥」
瑠衣「え? っていうと5人でこの時代に?」
ベジブルー「うん! あと、おとーさんとピッコ‥‥」
ベジレッド、ブルーの口を慌ててふさぐ‥‥
ベジレッド「あ、い、いえ! ベジイエローとベジグリーンは別のタイムマシンで来たのですが、はぐれてしまったんです!」
輝 「っていうと、ベジレッドさん、ベジピンクさん、ベジブルーさん‥‥」
瑠衣「あとがベジイエローさんとベジグリーンさん‥‥ですか?」
ベジレッド「はい!」
赤星「ほんと‥‥俺達とおんなじコンセプト‥‥」
黄龍「うーん。野菜の戦士‥‥なんとかファイヴ‥‥ってか?」
ベジレッド「じゃあ、ベジグルVってことで、お願いします!」
ベジピンク(拍手)「わー! いい名前だわ!」
ベジブルー(拍手)「さすが、兄ちゃん!」
4人「は、はあ‥‥」

2003/11/3

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