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「ねえ、兄ちゃん。」
布団の中で微睡みながら、悟天が話しかけてきた。
「ん・・・?」
「おとうさんってさぁ・・・どんな人だった・・・?」
最近になって急に、悟天は見たことのない父の話を聞きたがるようになった。
その度に、彼が生きていた頃の思いでやイメージを語るのが、
何だか自分の大切な仕事のように感じていた。
「ん・・・そうだな・・・」


こみあげる思いが、交差する。

今も昔も憧れてやまない、父のあの後ろ姿を。

そして、それを一生懸命追いかけていた、自分の思いを。

その全てを、話しきることは出来ないけれど。


「優しくて・・すごく、格好良かった。
 兄ちゃんにとって、ヒーローみたいな人だったよ。」
「強かったの?」
「うん、強かったよ。兄ちゃんなんかより、ずっと・・・。」


空みたいだと  思っていた


手を伸ばしたら届きそうで  それでいてとても遠い場所に在るような


そんな不思議な印象さえ  持っていたから


だからきっとどんなに自分が頑張っても


一生追いつけないだろうな  というのが、本音。


「へえ・・・でもさぁ、ピッコロさんはね、兄ちゃんが一番強いって言ってたよ。」
「ピッコロさんが・・?」
「あとね、お父さんは今の兄ちゃんにそっくりなんだってさ。
 『いきうつし』だって言ってたよ。」

(ピッコロさんが、そんな事を・・)

そんなふうに思ってくれていたことに、驚く反面 嬉しいと思う。
彼は、多くは語らない人だから。
頭に浮かぶのは、いつも自分を救ってくれる、あの優しい 穏やかな。

「・・じゃ、本当はどっちが一番強いのかな・・?」
その質問には答えずに。 ただ、笑っていた。

「こら、二人とも!いつまで起きてるだ!
 悟飯ちゃんは明日っから学校行くんだ、早く寝るだぞ!」
「は〜い。おやすみなさいっ。」


この幸せが、いつまでもずっと  続けばいいと思う。




そうして彼が父親との再会を知るのは、このほんの少し先の話になる。




『 ありがとう 』  この子の未来を支えてくれた、全ての人たちへ。



              fin・・・。

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