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『 さよなら 』と言えば君の 傷も少しは癒えるだろう?


『 あいたいよ・・ 』と 泣いた声が 今も胸に響いている





悟空が、死んだ。
その為に生まれたそれぞれの悲しみは
彼が残した幸せや笑顔が 時間と共に掻き消していったけれど
誰よりも深い傷を負った  あの少年の心は
オレンジ色の広い空を  彷徨っているのだろうか


(小さな肩に背負い込んだ 僕らの未来は)


(ちょうど今日の夕日のように 揺れてたのかな)




死体がなかったということが 唯一 救いだっただろうか
誰だったか 父が死んだその直後
彼の名前を叫んだその声を
父が死んだと告げられた あの時の母の泣き声を


僕は  どんな気持ちで聞いていただろう?


トランクスがたった今、未来に向けて飛び立っていった。
あの悪魔が滅んだあとに、彼は彼の 未来を切り開いていく為に。

僕とは、違う。

「悟飯・・・お前は、自分を責める必要なんかないんだぜ。
 そんな悲しそうな顔をしないでくれよ。」
自分の暗い表情を見つめていた、クリリンが話しかけてきた。
「悟空もさ。お前が悪いなんて少しも思っちゃいないんだ。
 お前がこれから幸せになることを望んでいるんだよ。」
肩にてを乗せて、諭すようにそう語る彼に
「そうですね・・・。ありがとうございます。」
作り笑いを含んだ、かすかな笑みで返した。

肩から、手が離される。

彼は、気づいただろうか。

その言葉こそが悲痛なのだと、心の中で訴えている自分に。
周りの人間は、あまりに優しすぎて。
誰一人、自分を責めようとはしなかったけれど。

いっそ恨んでくれたら楽だったのにと そう思っていた


僕の心に、気づいただろうか。



「お母さん、僕ちょっとそこらへんを散歩してから帰ります。」
うまく笑って言えたかどうか自信はなかったけれど、
それでも今の自分にできる限り、平常を装ったつもりだった。
「悟飯ちゃん・・・本当に、大丈夫だか・・・?」
やはりどうしても、母親には見抜かれてしまったらしい。
「大丈夫ですよ・・・。暗くなる前までには、帰ってきますから・・・。」

心配そうな母の顔を振りきって、よろよろと空に浮かび上がる。

沈みかけてきた夕日の光が、どうしようもなく、眩しくて。

その、遙か向こうに。

悟空の姿が、見えたような気がした。

自分が死なせてしまった、父の姿が。



(お父さん、・・・・僕を、助けてください・・・)





『 さよなら 』と言えば君の 傷も少しは癒えるだろう?


『 あいたいよ・・ 』と 泣いた声が 今も胸に響いている




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