End of Infinity
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お願い。


君は・・・  (君だけは・・・)


僕みたいには  ならないで。






瞳が。声が。全身が・・・

苦しくて仕方がないと 叫んでいるように思えた。


同じ場所にいたかった。
辛い事も悲しい事も、分かり合えたらいいと思った。
でも、それはあなたが望んでいる事じゃなかった。


僕の名前を呼ぶ声が、あまりに苦しそうで。
それ以上、その場に立っている事が許されないような気がした。
零れる涙を振り切るように、全速力で走っていた。




突然、目の前の光景が異様な空気に包まれている事に気づいた。
響き始めた爆音が、それ程遠くない所まで接近してきているのが解る。
(人造人間・・・)
ついさっきの師の言葉を無視する形になってしまうが、
逃げ出す訳にもいかなかった。


近づくにつれ、オイルや乾いた埃の匂いが鮮明になってくる。

左右に轟く騒音のせいで、耳鳴りがひどい。

体中の神経が あからさまに危険信号を発しているのを感じた。



気の遠くなるような圧迫感。



「・・・あ・・・!」

山積みになった瓦礫の下に、血を流して倒れている老人がいた。

「大丈夫ですかっ!?しっかりして・・・」
駆け寄ってしゃがみ込んだ。
がしっと、縋るように両腕を掴まれる。


その時感じたのは、言い様のない 恐怖。


「助けてくれ・・・」


次第に弱々しく、伸ばされた手は崩れていく。


「死にたくない・・・」


苦痛に歪んだ表情のまま、彼の時間は止まる。





(悟飯さん)


(こんな地獄を  あなたは何度 体験してきたんだろう?)



怖くて。震えが、止まらなかった。
暫く自分が泣いている事にさえ気がつかなかった。


・・・助けて。


こんな時、何て祈ったらいいんだろう。



乱射された気弾の一つが、視界いっぱいを切り裂いた。

音を立てて自分の体が倒れるまでは覚えている。


・・・後の事は、よくわからない。






(お願い。お願い。・・・・・・お願い。)


ああ、そうか。


神様なんて  いないんだ。




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