End of Infinity
(1) (2) (3) <4> (5) (6) (7) (8) (9) (戻る)


人は  いつから


『 我慢する 』ことが正しいだなんて


思うように なったんだろうね。





ここのところ何日間も、空は隠れてしまっている。
外に連れ出す事も出来ず、小さな子供は同じ部屋で
白い画用紙に絵を描いていた。
一緒に生活するようになって、この子に読むこと・書くことを
教えるのは、いつの間にか自分の仕事になっていた。
(口の利けない彼にとって、それは必要不可欠な知識だった)
頭の良い子で、母親の血を受け継いでか、
その呑み込みは僕自身、驚くほどに速かった。



衣服の袖を引っ張られる感触につられ、

振り向いた顔の前に 提示された 白い紙。

それは非常に子供らしい、多少理解に苦しむものではあった。

けれど はっきりと解る、子供と 子供の母親に・・・自分の、顔。

「・・・これ、・・・僕・・・?」

小さな子供は、かぶりを振った。

「ありがとう、トランクス・・・。」

子供は頬を赤らめながら、照れくさそうに 笑う。



その時急に 設置されているラジオの音が、大きくなったように思えた。


『人造人間情報ノ、オ知ラセデス。』


「・・・行かなくちゃ・・・」
表情が 凍り付いたそれに変わるのが、自分でも解る。
心配そうに差し伸べられる、両手。



僕はこの子にいつまでたっても、


“戦う術”を教えようとはしなかった。


訝しんだブルマさんにそれとなく聞かれても、


いつも誤魔化すようにして、置き去りにしてしまっていた。


・・・自分一人で大丈夫だと、心の中で 呟きながら。


(もしかしたら、殺戮を望む自分の姿を)

(見られたくなかっただけなのかも  知れないけれど。)



「・・・ここで、・・・待ってて・・・。」

肩に手を置き、言い聞かせるように そっと・・・。





(あのね、悟飯さん。)


(このとき僕は  どうしても)


(『 行かないで 』 って)


(貴方に言って あげたかった。)




(1) (2) (3) <4> (5) (6) (7) (8) (9) (戻る)
background by Studio Blue Moon