お兄ちゃんといっしょ!
<1> (2) (3) (戻る)

けたたましいチャイムの音に耐えかねて、悟天が玄関のドアを開ける。
「あっ悟天君!こんにちは・・・お兄ちゃん、ここに来てない?」
前置きもほどほどに、いきなり本題を投げかけてくる。
「トランクス君なら今日は来てないよ。
 家にいなかったんだ?」
「そうなの!お兄ちゃんったら今日は一日ブラにつきあってくれる
 約束してたのに!本当にどこいっちゃったのかなぁ。
 ・・・じゃ、またね悟天君!」
「うん、バイバイ」
ヒラヒラと手を振って、嵐が去っていくのを見送る。
完全に見えなくなってから、隣の部屋の人物に声をかけた。
「いっちゃったよ、ブラちゃん。」
扉が開いて、必死の逃亡で疲れ果てたトランクスが顔を出す。
「サ・・・サンキュー悟天・・・助かった・・・」
「あはは。トランクスも色々苦労がたえないな。」
「笑わないでくださいよ悟飯さん!」
リビングでくつろいでいる悟飯に向かってトランクスが悲鳴をあげる。
「でもさぁ、何で自分の妹から逃げ回ってる訳?」
悟天の率直な疑問だった。
トランクスは涙ながらに、昨日のできごとを語り始めた。


その日は大学の講義もなく、家でブルマの仕事の手伝いをしていた。
そこへ、トランクスのとりまきの女の子達が押しかけてきたのだった。
もっと最悪な事に、ちょうどそこにブラが帰ってきてしまった。
「お姉ちゃん達、誰?うちに何かよう?」
「えっ!?もしかして、トランクス君の妹さん?」
「やだー超かわいー!ねえねえ、トランクス君いるー?」
「お兄ちゃんはねえ、あんた達なんかに会いたくないって。
 ブラと遊ぶ時間がなくなっちゃうから!!」
「うそっ!トランクス君がそんなこと言う訳ないわっ!!」
「うそじゃないもん!本当だもん!!」
険悪なムードの中、トランクスが小走りに近づいてきた。
「こらブラ!俺のお客さんと何やってんだよ!」
「お兄ちゃん!」
「トランクス君!」
一同一斉に振り返る。
「よ〜く見てなさい!ブラがお兄ちゃんを大好きで、
 お兄ちゃんもブラをだーいすきってことを証明してあげる!!」
次の瞬間。
トランクスの唇が、生暖かいもので塞がれる。
「・・・・・・!?」
何が起こったか理解できずに呆然とするトランクス。
とりまきの女の子達は、その恐ろしい光景を目前にし、
きゃーきゃー叫びながらどこかへ行ってしまった・・・。



「・・・ぶっ・・うわははははは!!」
「笑うなー!!」
「・・・・・くっ・・くく・・・ごっごめんっ・・・」
「ああっ悟飯さんまで!」
腹を抱えて大笑いする悟天と悟飯とは裏腹に、
トランクスはどん底にたたき落とされたような心境である。
「そうかーブラちゃんのファーストキスはトランクスかー。」
こみ上げる笑いを抑えながら、悟飯の突き刺す一言がとぶ。
「いいんじゃない?好かれてるんだから・・・くくくっ」
悟天が追い打ちをかける。
(ブラ恐怖症になりそうだ・・・)
二人を横目に、トランクスは大きなため息を吐いた。


<1> (2) (3) (戻る)
background by Salon de Ruby