Precious Darling!
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レインとミスター・ポポは、神殿の中の回廊を手をつないでゆっくりと歩いていた。
朝日が遠慮無しに二人に降り注ぐ。気持ちがいい。
それに、うれしい。

「きのうね、ママにゆめのなかであったの。いろんなこと、おはなししたの…。」
「お前の、ままにか?」
「うん。」
レインはポポの手を(といっても、大きくて全部は握れないので指先を)ぎゅっと握って、言葉を続けた。
「パパは、パパだったけど…パパじゃなかったの。」
「???…?ピッコロが、ぱぱ…であって、ぱぱ…??」
「うん!!けど、だいじょうぶなの。レプリカ、かえしてもらってくる!!」
「????…。」
レインは回廊を浮くように駆け抜けていった。


「パパ〜っ!!、カミサマ〜!!」
「レインさん!!」
「…眠れたか?」
「パパのおかげでぐっすりだよ!」
レインは、首筋を押さえてにっこり笑ってピッコロの顔を見た。デンデはくすくす笑い、ピッコロはちょっとバツの悪そうな顔をした。
「あのね、ゆめの中でママにおしえてもらったの…。あなたは、パパであって、パパじゃないって…。めいわくかけちゃうから、もうみんなのとこに帰りなさいって。」
「…そうか。……オレの言ったとおりだっただろう。」
「うん…。」
レインの瞳に陰りができる。デンデはちょっと心が痛んだ。
「けどね、考えたの!!あたしには、すてきなパパがふたりもいるってことでしょ?!そうでしょっ!!」
彼女の目は、すぐにくるくるとよく動く目に戻り、ピッコロの足に飛びついた。
「何!?なんだと!!」
「あははっ!!」
めずらしくデンデが大声をあげて笑った。ピッコロは、そんなデンデをギロっとにらみつけてから、レインのほうを向いた。
「みんなの所には、かえるわ。みんなしんぱいしちゃうし…。ママとの約束だし。けど、あたしの宇宙船、壊れちゃっていたでしょ?ふつうは、『はんじゅうりょく』っていうのがはたらいて、こわれることはないんだけど…。」
「……あ。」
そういえば、悟天とトランクスがレインを助けるために、入口をムリヤリこじ開けた…とか言っていた。
あ…いつらっ……!!
「ほっとけばなおるんだけど、ちょっとじかんかかっちゃう。ねえ、ピッコロパパっ!!」
(どこまでカワイくないんだあいつらは〜〜〜〜〜っ!!!)
「うふっ。」
レインはピッコロの声なき声を聞き流し、足にへばりついたまま彼のマントをぎゅうっと握った。
「ネイルパパが、あたしのママにしてくれたみたいに、いろんなとこつれてって!!遊びにいこうよ!!」
「ふ…ふざけるなよ…。」
「ゴテンくんと、トランクスくんには、言いたいこと、やまほどあるんじゃない?」
ネイルの血をひいているレインには、共感能力もあるらしい。自分の心の中が、筒抜けだ。
ピッコロはぐ…と言葉をつまらせた。一回、セキ払いをしてレインのほうに再び向き直った。
「わかった…どっちから行く?」
「みどりがいっぱいあるほうがいい!!」
ピッコロは、タイルから足を離してレインをそおっと抱き上げた。レインは落ちないように、ぎゅっと首に腕をまわした。
「すまんな、デンデ…すぐに戻ってくる。ミスター・ポポにも言っておいてくれ。」
「わかりました、ボクも楽しみにしてますね。」
くすくすと面白そうに笑いながら答えるデンデに、ピッコロは「覗き見か」と少し微笑んでつぶやいた。
「よし、行くか。」
ピッコロは、レインを思いきり抱きしめて、パオズ山へ一直線に向かった。

    (おしまい)
2001/06/05

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