Precious Darling!
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「ね…ネイルだと…?ふざけんなよ…。そんなわけあってたまるか…。」
悟天とトランクスが帰り、ようやく静かになった神殿に、ピッコロのひとり言だけが響く。彼の手のひらには、レインの手からこぼれたドラゴンボールレプリカが乗っていた。
当の本人はというと、神殿の一室でミスター・ポポに介抱されつつぐっすり眠っている。
「…ピッコロさん。」
ようやく我に返ったデンデは、ポポがくれたお茶のカップを二つ持って彼のそばに来た。
「…。…あなたは、ネイルさんと同化したのならレインさんのお母さんの記憶も…あるのではないですか?」
「…いいか、よく聞けデンデ。オレはたしかにネイルと同化した…が、ヤツの持っていた記憶がすべてオレの脳に移されたかといえば違う…。」
「え?」
デンデは不思議そうに首を傾けた。ピッコロはその表情を確認すると、自分の指先に爪で小さなキズをつけた。
「な、なにやってるんですか!」
デンデはすぐに彼の手を自分の手で包んで、キズを治した。わずか数秒でキズが癒える。
「おまえには回復能力がある。ナメック星で会った時、オレはおまえの名はわかったが、回復能力があることまではわからなかった…。ネイルと同化しているのに、だ。」
「あ…。」
「だから、ヤツがどこでなにをしていたか、なんてことはくわしくは知らん。感覚として覚えているだけなんだ…。」
デンデは久しぶりにネイルの顔を思い出した。強くて、やさしい、ちょっとあこがれだったひとの顔を…。
「それで、だ。」
ピッコロは、そのネイルにうりふたつの顔を怒りでもなく、困った顔でもなく、その中間の表情をして、デンデに向き直った。
「オレ達は、一人で、たまごでふえるだろう?それは、過去も今も、未来も…永久に変わることがないと思う。…違うか?」
「じゃ、じゃあレインさんの言っていたことは、ウソていうんですか?トランクスさんも言っていたじゃないですか、『宇宙は広い』って。…あの人がもっていたのは、本物のドラゴンボールレプリカですよ、だから。」
「そしたらお前は、ネイルがどこの誰だかわからない宇宙人の女を捕まえて、ナメック星人のクセに(よくわからんが)地球人みたいな方法で子どもを産ませて、しかも今まで放っておいたとでも言いたいのかっ!!?」
さすがに、デンデも反論できなかった。地球人がどんな風にして子どもができるのかは、神として着任して8年近くたった今もよくわからない。しかし、悟飯達に聞くと口ごもる様子からして、きっと公衆の面前ではできないんだろう、というのは感じ取ってた。
あこがれの人が、まさかそんなマネしたとは考えられない。いや、考えたくない。
「そ…そんなこと…。きっと、なにかあったんですよ…。レインさんのお母さんと。」
「大体、オレ達は、異常気象のあとは宇宙に行く技術を捨てたはずだ。異星人との交流なんぞ、ぜったいにあるわけない…!」

(あったら…どうする?)

「え?」
「今、何か言ったか…?デンデ?」


(ここよ、ここ…)
ピッコロは、はっとして手のひらを見た。
ドラゴンボールレプリカから声が「聞こえ」る。

2001/05/31

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