はちみつミルクにチョコレート 
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今日、この神殿には二人しかいない。ミスター・ポポが閻魔大王のところに、報告書を作成して持っていってしまったからだ。丸一日戻ってこない。
ナメック星人二人は何をしているのかというと、デンデは悟飯が本を借りにくるので書庫に行って、書棚の整理。
ピッコロは悟飯が来るのを待っていた。

悟飯は念願の学者になってからというものの、学生時代よりも読書量が100倍は増えているような気がする。一週間おきにこの神殿にやってきては、膨大な量の本をカプセルに入れて借りていく。「ブルマさん達に感謝ですよ、カプセルがなかったら僕の家の床は、本の重みでとっくに抜けてますからね。」と苦笑まじりに漏らしていたことがあった。

「はあ、やっと片付け終わりました…。」
ホコリまみれになって、デンデが書庫からでてきた。整理、とはいってもテレキネシスの使えるデンデにとっては簡単なものだったが、いかんせん書庫が広すぎるのだ。
入り口に入って中を見渡しても、向こう側のカベが見えない。舞空術の使える者限定の書庫のようだ。そうでなければ、迷子になってしまうかもしれない。
「なんとか探しやすいようにはしたんですけど…、あれじゃ検索するだけでも大変ですよ。検索できても、肝心の本がどこにあるのかを探すのも。」
「うむ…。なんとかした方が良いかもしれんな…。」

二人が書庫の検索について頭を悩ませていると、なじみのある『気』がふたつ、神殿に近づいてきた。やけにゆっくり…ゆっくり、近づいてくる。
ゆっくり、ゆっくり、フラフラと。
最初にひょこっと頭を出したのはパンだ。3つと半分になったばかりだが、舞空術はなんとか会得できたらしい。危なっかしい、おぼつかない飛び方だが空気の薄いこの場所まで飛べる事が出来ただけでも、手放しで誉められる。

「ぴっこおさーん!カイしゃまーっ!!」
パンは両手をぶんぶんと振り回して、舌っ足らずに自分達の名前を上から叫ぶ。
フラフラになりながらも、彼らの頭上のところまでなんとかやってきて、気が抜けたのだろうか。
「きゃあっ♪」
「うおっ。」
気が抜けたのだろうか、それとも確信犯なのだろうか?パンはピッコロの腹にめがけて空からダイブした。
ピッコロは思わず手を床について、彼女を抱きとめた。
パンのほうは、にっこり笑いながら冷や汗をかいているピッコロの表情をからかっているように見つめている。
「ばかものがっ。何を考えているん」
「ねえ、あたしここまでとべうようになったのよ!すごいでしょ?ねっ?」
「む…。そ、そうだな…。」
「ぷっ…、クスクス。」
怒声の前に先手を打たれたピッコロを見て、デンデは笑いをこらえるのに必死になった。
そんなデンデのとなりに、父親の悟飯が降り立った。

「やあ、デンデ!この間はどうもありがとう。ちょっと遅れてすまなかったね、パンがどうしても『空飛べるところを見せたい!』ってきかなくてさ…。」
言葉は怒っているが、顔はにんまりしている。
どうやら、悟飯もチチに負けず劣らず親バカのようだ。
「いいえ、こちらもちょっと準備に手間取っていたんです。おあいこですね。」
「さっ、そしたら早速借りにいこうかな?」
「ええ、そうしましょう。」

「パンー?お父さんは本を借りてくるけど、お前はどうするー?」
パンはピッコロのマントにぎゅっとしがみついていたが、悟飯の声を聞くとその力がちょっとゆるんだ。
「…お前の父親が呼んでいるぞ。行かなくていいのか?」
「……。」
彼女は上目遣いでピッコロをちょっと見ると、大声で父親に向かってさけんだ。
「いかなーい!あたし、ここにいゆーっ!!」
「なに?」
「わかったよ!ピッコロさあーん!あとよろしくお願いしますーっ!!」

ピッコロ以外はすっかり『ピッコロがパンのおもりをする。』ということになっているらしい。
しかし、そんなことやってられない。
ガキのおもりはもう、こりごりだ。
「ちょ、ちょっとまて!」
「ぴっこおさんはこっち!」
3つでもやっぱり悟飯の子供だ。子供では考えられないくらいの力で、彼のヒザを押さえつけて自分はそこにちょこん、と座りなおした。
「あ、検索に時間がかかりますからーっ!2時間くらいですからねーっ!」
「いってらっしゃーい!!おとうしゃーん!カイしゃまーっ!!」
悟飯とデンデはにっこり笑って、彼女に手を振って神殿の中に消えてしまった。

あとにはピッコロのヒザの上で満面の笑みのパンと、彼女と対照的な表情のピッコロだけが残されていた。

2001/07/28

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