超サイヤ人への道 

日曜日。めずらしく朝から悟飯が上空で気を高めている。高める、戻る、また高める、また戻る・・。
「もしかすると久しぶりに相手してくれっかもしんねぇぞ」と思った悟空はワクワクと空に上った。

「いつ見ても、ほれぼれすんな、そのパワーはよ」
「あ、お父さん」
界王神界で得た逆立った黒髪ときつい目つきのまま悟飯が振り返る。

「ちょうどよかった。お父さんに、相談にのってほしかったんです」
「なんだ、組み手の相手ならいつでもやってやっぞ」
「いえ、組み手じゃなくて・・・。あの、僕、どうにかして超サイヤ人になりたいんです」

「へ? 今のやつ、超サイヤ人4みてぇなもんだから、もういいだろ?」
「えーと、お父さんは、超サイヤ人1、2、3と順番に変われますよね。だけど、今の僕は、何をどうやっても、いきなりこの状態になっちゃうんですよ。で、なんとか順番に変われないかと思って・・・」

「1、2、3、4ってか?・・・おめえ、そこまでかしこまって考えなくて、いいんじゃねぇか?」
「いえ、どっちかっていうと3は飛ばしてもいいんですけど・・・」
「なんだ、そりゃ?」

「ビーデルさんが、僕が金色の戦士になれなくなったの残念がってるみたいなんですよ。3は顔が怖いからいいとして、なんとか1か2の状態になってあげたいんですけど、どうしてもうまくいかないんです」
「へ?」

うーん、学校の友達ってぇのは難しいな。なんだってそんなこと・・・。でも悟飯はマジメに悩んでるみてぇだしな・・。

「よし、じゃあ、見ててやっから、そーっと気をあげてみろ。変化したとこで教えてやっから」
「ありがとう、お父さん! じゃ、いきますよ」
ふっと元の状態に戻った悟飯が、そーっと、気を高めていく。しかし・・・

「わっ、だめだ! わかんねぇ!」
「外から見ててもだめですか? 髪の色、変わらないのかなぁ」
「おめえ、昔と違うやり方してねぇか?」
「同じですよ。出だしは確かに同じ気分なんですけど、あんまり一瞬で、自分じゃつかまえきれないんです」

「そうか・・。よし悟飯、降りろ。徹底的にそーっとやってみっぞ」

そう、悟空は思い出したのだ。あの世にいたころ昔の達人から聞いた修行法。けっして身体の動きを止めずに、百メートルを百分かけて歩く。ずれていく重心に耐えてゆっくりとした動作を続けるには、全身のすべての筋肉に緊張が必要で、見た目に比べてむちゃくちゃキツイ修行だ。まあ、悟空にとってきつかったのは、どちらかというと途中で飽きてきたことだったのだが・・・・。

二人は地面に向き合って、座り込む。

「悟飯、おめえ、『最強の戦士』状態になるの、今どのくらいかかる?」
「30秒ぐらいですね」
「よし、それ1時間かけて、変化するぐらいの気持ちで、やってみろ」
「い、1時間ですか?」

なんだか界王神様の修行みたいになってきた、と思う悟飯だったが、言い出したのは自分なので、やめるわけにはいかない。ということで、父の見守る中、悟飯は修行(苦行?)に突入した。


肝心なところで悟空が寝ていたり、キレた悟飯が爆発しそうになったり、紆余曲折はあったが、昼になって、やっと黒髪から金髪になる一瞬を悟空が見つけだした。

午後は、できるだけ長く金髪の状態でいる修行になったが、これがまた難しい。悟空は、超サイヤ人は気のレベルに応じて自然にかわってくるはずだ、というのだが、どうも『最強の戦士』はエネルギーレベルの許容範囲がえらく広いようで、逆に金髪でいる範囲がとても狭くなっているのだ。
超サイヤ人って、なんて奥が深いんだろうと悟飯は思った。

そのあとも、せっかく金髪状態になった悟飯に、悟空が試しに気弾をぶつけてみたり、そのとたんに悟飯の気がはじけて超サイヤ人5ぐらいまでいきそうになったり、紆余曲折はあったが、夕方になって、やっとなんとかある程度の時間を超サイヤ人1.5ぐらいの状態でいることができるようになった。

「お父さん、どうもありがとうございました。おかげでなんとかなりそうです」
「ああ、よくがんばったな」

最初のうちは、なんかばかばかしいなと思っていた悟空だったが、見ているうちに「これって相当大変なことかもしんねぇ、学校に行ってなくてよかった」と胸をなで下ろしたりしていたのだった。



翌日の放課後、悟飯は郊外の野原にビーデルを誘った。
「いやー、けっこう苦労しちゃったんですけど・・」
そういって、悟飯は注意深く気を高めた。

「あ・・、金色の戦士? 悟飯くん!」

ビーデルはいきなり悟飯の胸にとびこんだ。
「あたしのために、ありがとう!」

そして悟飯の顔をみあげた。
「悟飯く・・・キャーーーーッ」

悟飯は動揺のあまり超サイヤ人3に変化していた。


                 (了)

(戻る) 2001/7/4